【瀬戸市】Y・Y様邸 特注コンクリートキッチンの裏側をご紹介
築28年のダイワハウスの住まい。
今回のリノベーションの大きな見どころのひとつが、特注のコンクリートのキッチンです。
前回のレポートでは、キッチンの型枠を組み、鉄筋の位置や設備との干渉を入念にチェックしました。

そして今回、いよいよキッチンがカタチとなって現れる コンクリート打設へ。
図面の中にあった理想のキッチンが“暮らしの中のキッチン”へと動き出す、とても大切な工程です。
丁寧に運び、丁寧に注ぐ
生コンクリートは「時間との勝負」品質を保ちながら現場まで運ばれ、型枠や配筋、シンク位置など、一つ一つ確かめながら流し込みが始まります。


職人の技が“表情”を決める
コンクリートは、ただ流し込めば形になるものではありません。
打設された瞬間から、判断力と技術が問われます。
流し込まれたコンクリートには、すぐに振動機械(バイブレーター)やつつき棒を差し込み、内部に入り込んだ空気を振動で引き上げながら抜いていきます。
見えない部分に空気が残ってしまうと、「巣穴」と呼ばれる隙間ができ、強度低下や仕上がりの美しさを損なってしまうためです。
さらに、型枠の外側を木槌で叩くことでコンクリートが隅々まで行き渡るように細かく誘導していきます。
・角部や鉄筋の裏側までしっかり流す
・コンクリートの粒子が均一に締まるように調整
・硬化後の表情を想像し、打設スピードをコントロール
こうした職人たちの丁寧な“ひと手間”の積み重ねで、美しく、強く、長く暮らしを支えるキッチンがつくられていきます。

少しの判断や手の動きで、表情が変わってしまう素材だからこそ、息を合わせ、集中して作業を進めていきます。
どっしりと存在感がありながら、優しく暮らしに馴染むキッチンへ。
そのための“小さなこだわり”の積み重ねです。

次に、表面の仕上げ。
コテを使ってコンクリートの粒子を落ち着かせながら平滑に整える工程です。
・水分の上がり具合を見ながら均し作業を進める
・早すぎても遅すぎても、美しい表情にならない
・照明が当たったときの陰影まで想像してラインを整える
特にキッチンは、手が触れ、光が反射し、日常で最も視線が集まる場所。
だからこそ、1mm単位の違いが存在感を左右します。

コンクリートを育てる時間
流し込みが終わると、次は養生期間。強度をしっかり確保するための“静かな時間”です。焦らず、じっくり。

次回:コンクリートキッチンの“お披露目”へ
しっかりと硬化したら、いよいよ 型枠を解体します。閉じ込められていたコンクリートが現れ、この家だけのキッチンが姿を表します。
完成に向けて、ひとつひとつ確かな歩みを。“暮らしを豊かにする空間づくり”を、これからも丁寧に進めていきます。

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この記事を書いた人

坂本真由
坂本真由(株式会社SOWAKA)
代表取締役
1984年、熊本県天草市生まれ。
田舎ならではの独特な世界観や価値観に刺激を受けながら育ち、「自分らしく生きる」という人生のテーマを教えてくれた、大好きな地元が私の原点です。
そんな地元を離れたのは、「建築とデザイン」を本格的に学びたかったから。新しい刺激を求めて飛び込んだ専門学校では、建築の基礎から空間づくり、そしてデザインの楽しさを2年間夢中になって学びました。
卒業後は名古屋のビルダーに就職し、現場での経験を重ねながら、より実践的な建築の世界を体感。地元で培った感性と、愛知での学びや経験が、今の私の仕事にしっかりと息づいています。







