鉄骨造店舗|施工のポイント、名古屋エリアでの坪単価や建築費用、施工事例などをご紹介

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

鉄骨造店舗リノベ

鉄骨造店舗の建築は強度や耐久性の高さから、大型の商業施設から小規模な店舗まで幅広く採用されています。名古屋の都市環境においても鉄骨造はデザイン性と機能性を兼ね備えた店舗設計が可能で、柱の少ない広い空間や近代的な外観を実現できます。

しかし、鉄骨造店舗を建築する際には、耐湿性や断熱性、防音性など、さまざまな技術的な要素を考慮する必要があります。

本記事では、鉄骨造店舗の特徴やメリット・デメリット、建築時の注意点、名古屋での施工事例を踏まえた費用について詳しく解説します。

鉄骨造店舗の建築デザイン・工事に関する基本情報

鉄骨造店舗の建築は、商業施設や飲食店などで多く採用される人気のある工法です。その強度と耐久性に加え、デザインの自由度が高く、大規模な空間設計が可能な点が特徴です。

まずは、鉄骨造の基本的な特徴や建築構造について詳しく説明します。

鉄骨の種類

建築物に利用される鉄骨には、「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」のふたつの種類があります。

軽量鉄骨と重量鉄骨は、主に使用される鉄骨の厚さと建物の規模や用途によって区別されます。

  • 軽量鉄骨:厚さが6mm未満の鋼材を使用し、主に低層の住宅や小規模な店舗で採用されることが多いです。コストが抑えられ、施工が比較的簡単なため、狭い空間や短期間での建築に適しています。
  • 重量鉄骨:厚さ6mm以上の鋼材を用い、ビルや商業施設などの大規模建築に適しています。強度が高く、広い空間を確保できるため、耐震性や耐久性に優れています。

特徴

鉄骨造は、鋼材を主な構造材とする建築方法です。

なかでも重量鉄骨は高強度で耐久性が高く、大規模な建物や高層建築に向いています。特に商業施設や店舗建築では、デザインの自由度が高く、柱の少ない広い空間を確保できることから、多く採用されています。名古屋の商業地でも鉄骨造の店舗は多数見られ、現代的で機能的なデザインを実現できるのが魅力です。

一方、軽量鉄骨は住宅兼店舗やコンビニエンスストアなど、小規模な建造物に用いられる場合が大半です。

いずれの鉄骨も「強度があり、耐久性に優れている」という特徴があります。

建築構造

鉄骨造の店舗は、H形鋼やC形鋼などの鋼材を組み合わせて構築されます。骨組みが完成すると、外壁や内装を取り付けていく工法が一般的です。

鉄骨は工場で加工され、現場で組み立てられるため、比較的短期間での施工が可能です。

メリット

鉄骨造の最大のメリットは、その強度と耐久性です。地震や風圧に強く、長期にわたり安定した性能を発揮します。また、デザインの自由度が高く、オープンスペースの多い店舗やガラス張りの外観なども容易に実現できます。

さらに、鉄骨は工場でのプレハブ化が進んでおり、品質が安定しているため、一定の施工精度が保たれやすい点もメリットです。

デメリット

一方で、鉄骨造にはいくつかのデメリットも存在します。まず、鋼材の価格が高いため、初期の建築費用が他の構造に比べて割高になることがあります。

また、鉄は錆びやすいため、防錆処理が必要です。これに加え、断熱性や遮音性が比較的低いことから、適切な対策を講じる必要があります。

鉄骨造建造物をリノベーションする意義

上記のような鉄骨造の特徴を踏まえて、鉄骨造の建物をリノベーションする事の意義について詳しくご紹介します。

建物の延命と耐久性の向上が可能になる

鉄骨造は元々耐久性が高い構造ですが、リノベーションにより、さらに寿命を延ばすことができます。錆や劣化が進んだ部分を補強し、耐震性や耐火性を向上させることで、長期的に建物を安全に使用することが可能です。

コストを削減できる

新築と比較してリノベーションはコスト面で大幅に抑えられます。特に鋼材の価格が上昇している現状では、既存の鉄骨構造を再利用することで建築費用がダイレクトに削減できます。

その分、室内設備に予算を掛けられるようになり、結果的に理想的な店舗や住まいを手に入れる事が可能となります。

デザインや機能の自由度が高い

鉄骨造は柱の少ない広い空間を確保できるため、リノベーション時にもデザインの自由度が高く、内部の間取りを柔軟に変更することが可能です。

これにより、現代のニーズに合わせた新しい機能やデザインを取り入れることができます。

環境への配慮にもつながる

既存の構造物を再利用することで、資源の節約や廃棄物の削減につながります。持続可能な建築手法として、リノベーションは環境に配慮した選択肢とも言えます。

これらの理由から、鉄骨造の建物をリノベーションすることは費用対効果が高く、長期的なメリットを享受できる有意義な選択肢です。

鉄骨造の店舗を施工する際の注意点

耐用年数と減価償却

鉄骨造の店舗は、耐用年数が約34年とされており、木造建築に比べて長い傾向があります。また、減価償却の観点からも、鉄骨造は資産としての価値が維持されやすいと言えます。長期的な投資を考える際には、耐用年数と減価償却のバランスを考慮することが大切です。

断熱・遮熱性

鉄骨造は、コンクリート造や木造に比べて断熱性が劣るため、適切な断熱材の使用が必要です。夏の暑さや冬の寒さに対応するため、屋根や壁に高性能な断熱材を導入することで、エネルギー効率を高め、快適な空間を維持できます。

耐湿性

鉄骨造では湿気対策も重要です。特に名古屋のような高湿度の地域では、湿気が鉄骨に影響を与え錆びを引き起こす可能性があります。防錆塗料や湿気対策を施すことで、長期的な耐久性を確保しましょう。

耐火性

鉄は高温になると強度が低下するため、耐火性も重要な要素です。鉄骨造店舗では、防火仕様の外壁材や防火被覆を施すことが一般的です。これにより、火災時の安全性を確保し、建物の損傷を最小限に抑えることが可能です。

内部の天井は木を使用せず軽量鉄骨(LGS)下地とするのが一般的で、この下地に石膏ボードを貼ってビニルクロスなどで仕上げをしていくので火災についても安心ですね。

防錆性

鉄骨造において錆は大敵です。名古屋のような湿度の高い地域では、特に防錆対策が重要です。建築時に錆びにくい塗料を使用するほか、定期的なメンテナンスが必要です。錆が進行すると建物の強度に影響を与えるため、注意が必要です。

防音・遮音性

鉄骨造は音が伝わりやすい性質があるため、防音対策が求められます。特に飲食店や音楽施設などでは、適切な遮音材の導入や二重壁構造を検討することが重要です。防音対策をしっかり行うことで、隣接する建物や近隣への音漏れを防ぎ、快適な環境を提供できます。

SOWAKAで標準仕様として使用しているセルロースファイバー材は「防音性能」と「断熱性能」を併せ持つ断熱材なので店舗や事務所でもランニングコストを考えて採用するオーナー様が多いです。

鉄骨造店舗のリノベーション工事費用(名古屋編)

名古屋エリアの相場

価格は、建物の規模や仕様、使用する鉄骨の種類によっても変動します。

だいたい70万円~100万円/坪が2024年の相場となりますが、店舗の場合はピンキリです。

同じ名古屋内でも土地の価格も影響するため、事前に予算をしっかりと把握しておくことが重要です。

工事費用のおもな内訳

鉄骨造店舗の工事費用の内訳としては、以下の項目が含まれます:

  • 解体工事(外装や内装の取り外し)
  • 鉄骨材の加工・組立
  • 外装・内装工事
  • 設備工事(電気・水道・空調)
  • 防音・防火対策工事

これらの費用をバランスよく見積もり、コスト管理を行うことが大切です。

節約法

建築費用を節約する方法としては、鉄骨のプレハブ化やシンプルなデザインの採用が効果的です。また、複数の業者から見積もりを取ることで、価格競争を促し、コストを抑えることも可能です。

最大の節約方法は新築ではなく、既存の建物を活用するリノベーションですが、希望するエリア内で希望の条件に合う物件を見つけるのは容易ではありませんので時間的な余裕を見て物件探しをスタートする事が成功のポイントになります。

鉄骨造の店舗施工に強い業者の見つけ方

鉄骨造の店舗施工に強い業者を探す際には、いくつかのポイントを押さえることで信頼できる業者を見つけやすくなります。以下の方法を参考にしてみてください。

鉄骨造の実績を確認する

まず、鉄骨造のリノベーションに特化した経験が豊富な業者を選ぶことが重要です。

業者のホームページやパンフレットで過去の施工事例を確認し、特に鉄骨造の店舗リノベーションを手掛けた実績があるかをチェックしましょう。特定の業態や規模に強い業者もあるため、自分のニーズに合った業者を見極めることがポイントです。

専門知識があるかヒアリングする

リノベーションの際には、鉄骨造の特性を理解し、耐震補強や防錆処理など技術的な対策を適切に行えるかが大切です。

業者と打ち合わせをする際、鉄骨造特有の問題点(例えば防錆や耐久性の課題)について具体的な提案を出してくれるか、専門知識を持っているかを確認しましょう。

口コミやレビューを活用する

過去にその業者を利用した顧客の口コミや評価は貴重な情報源です。Googleの口コミやリノベーション専門サイトでのレビューを確認し、評判が良い業者を選ぶことが大切です。また、知り合いや同業者に直接リノベーション業者を紹介してもらうのも信頼できる方法です。

見積もりを複数の業者に依頼する

1社だけでなく、複数の業者に見積もりを依頼して比較することも大事です。施工費用や工期の違いだけでなく、提案内容や対応の柔軟さ、信頼性も見極めることができます。

見積もりの際、何が含まれているか詳細に確認し、追加費用が発生するかどうかも把握しましょう。

店舗設計の専門家紹介サイトを利用する

店舗のリノベーションに特化した業者紹介サイトやマッチングプラットフォームを活用すると、鉄骨造に強い業者を見つけやすいです。こういったサイトでは、希望の施工内容や予算に応じて適切な業者を紹介してくれるので、効率的に業者を絞り込むことが可能です。

これらの方法を組み合わせて、実績と専門知識が豊富で信頼できる業者を見つけ、満足のいくリノベーションを実現しましょう。

名古屋エリアでの店舗リノベーションの事例

名古屋市及び周辺エリアでの鉄骨造の店舗リノベーションの事例をいくつかご紹介します。

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まとめ

鉄骨造の店舗はデザイン性と機能性に優れ、耐用年数が長いことから、名古屋の商業施設でも多く採用されています。

適切な防錆対策や断熱・遮音性の工夫により、長期にわたって快適かつ安全な店舗運営が可能です。建築費用についても、事前に相場や内訳をしっかり確認し、予算に合ったプランを選択することが重要です。店舗経営を成功させるためには、建築時の各要素をバランス良く計画し、長期的な視点で投資を行うことがポイントです。

この記事の監修者

sugiyama

杉山幸治(株式会社SOWAKA)

一級建築施工管理技士

1977年生まれの瀬戸市育ち。建築工学科を卒業後ゼネコンに入社し、ビルやマンション建築の現場監督からはじまり、気付けば業歴27年。
20代はコンクリートと鉄骨に情熱を注ぎながら資格試験の勉強に没頭し、30代はコンクリートの社寺建築と木造での増築という難易度の高い現場などを経験しているうちに、どんな構造でもディレクションができるようになりました。中古住宅のリノベーションを軸に理想の住まいづくりをする会社の責任者として活動しています。

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