生活動線に沿った収納計画で快適な住まいを叶えよう!

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

生活動線に沿った収納計画で快適な住まいを叶えよう!

「すっきりと片付いた家で、丁寧な暮らしをしたい!」そう思っていても、仕事や家事、育児などで時間に追われる日々の中で、家をいつもキレイな状態に保つのは本当に大変ですよね。SNSやインテリア雑誌などを参考にして収納アイテムを取り入れたり、断捨離を決意して荷物を減らしたりしても、気が付けばすぐに元の散らかった状態に戻ってしまう…。そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

片付いた住まいを実現させるためには日々の努力や心がけが必要と思われがちですが、実はポイントとなるのが「生活動線に沿った収納計画」です。生活動線に沿って収納を最適化するだけで、片付けの手間を驚くほど減らすことができるんです。

家の新築やリノベーションを機に、機能的な収納で理想の住まいを叶えてみませんか?

生活動線に沿った収納計画とは?

リノベーションを機に収納計画を立てるうえで最も重要なのが、生活動線を考慮した配置です。例えば、玄関周りにはコート掛けやシューズクローゼットを設置。外出時によく使う鍵類やバッグ、小物も取り出しやすい位置に収納することで朝の準備がスムーズになります。

キッチンでは調理器具や食器を調理・片付け作業の流れに沿って配置できる収納を設置します。シンク横には調理に必要な包丁やまな板などの調理器具に加えて、洗い物の導線に沿って予備の洗剤やスポンジの収納があると良いでしょう。コンロ付近には鍋屋フライパンなどの調理器具、配膳カウンターの近くには食器類、というように使う場所の近くに必要なものを置くことで効率的な作業が可能になります。

リビングに欲しいのは、お子さんの勉強道具やプリント類を整理しやすい納戸。リビングの掃除道具も収納できるぐらいの容量だとより良いです。ソファ周りには、読みかけの本やリモコンなどをさっと片付けられる収納を設けると便利です。

洗面スペースの収納も重要です。収納力が高いランドリールームを設置する事で、衣類が散らかるのを防ぐというのも最近のトレンドになりつつあります。

このように、具体的な生活動線を思い描きながら、「どこに、どんなサイズの収納スペースがあれば片付けやすく、散らかりにくい部屋になるのか?」と言う視点で間取りを決めて行く事を『収納計画』と呼びます。

関連記事:リフォーム・リノベーションで実現したい!快適な暮らしを叶える家事動線とは?

生活動線に沿った収納のメリット

住まい全体を見て、生活動線に沿ってきちんと計画的に設置された収納には、私たちの暮らしを豊かにする数々のメリットがあります。

時間を有効に使えるようになる

まず、日々の暮らしの一連の導線のなかに、自然と「収納」という動作が盛り込まれるため、物を片付けたり、探したりする時間が驚くほど短縮されます。

例えば、玄関に鍵置き場を設置している方はたくさんいらっしゃると思いますが、『鍵を開けて部屋に入る→靴を脱ぐ前に、玄関横のスペースに鍵を置く』という動作が一連の自然な流れになっていて、無意識に習慣化できているはずです。この考え方に基づいて家全体の収納を設計して行けば朝の準備や夜の片付けがスムーズになり、大切な時間を物を片付けたり探したりするのではなく、自分のために使えるようになります。

ストレスが軽減されて心にゆとりが生まれる

すっきりと片付いた空間は視覚的なストレスを軽減し、心にゆとりをもたらしてくれます。空間に余白が生まれることで新しいインテリアを取り入れたり、趣味の空間を作ったりする余裕も出てくるでしょう。

外出先から帰宅した時に、きれいに片付いた部屋だとすぐにリラックスモードに切り替える事ができるので、時間的にもゆとりのある暮らしを楽しめるようになります。

安全な暮らしが叶う

小さいお子さんがいるご家庭だと、床に小さなおもちゃや生活用品などが散らかっていると誤嚥やケガなど思わぬ事故につながりかねません。

生活動線に沿って収納が設計された片付けやすい住まいでは、掃除や荷物整理の手間も大幅に減少できるので、多忙な育児の合間でもすっきりと片付いた安全で快適な状態をキープする事ができるようになります。また、片付けやすい収納を設置する事でお子さんが片付けを習慣化する事ができて、自分できちんと片付けてくれるようになったというお話を聞く事もあります。

必要な物がすぐに見つかり、不要な物も溜まりにくくなるため、何かとモノが増えやすい幼児期でも管理が容易になります。

場所別の収納アイデア

住宅内の各スペース別に、具体的な収納アイデアをご紹介します。実際の生活動線を想像しながら、取り入れたい収納について考える際の参考にしてみて下さい。

玄関

  • 可動式の棚を備えた土間収納を設置して、靴を片付けやすく見つけやすい状態で収納する
  • 土間収納にほうきなどの掃除道具、ベビーカーやゴルフバッグ、キャンプ道具など室内に持ち込みたくない荷物を収納する
  • 壁面鏡の裏に収納を設置して、鍵やバッグ、マスク、ハンカチなど外出時に必要な小物類を収納する

キッチン

  • シンク下に水回り用品と掃除道具の収納スペースを設置して、こまめに掃除できるようにする
  • キッチン横にパントリーを設置し、ストック品や調理器具をまとめて収納する
  • キッチンの背面に扉で隠せる壁面収納を設置して、ストック品や調理器具をまとめて収納しておき、来客時には扉を閉めて隠す

関連記事:キッチンの収納力が大幅アップ!リノベーションでパントリーを設置して快適なキッチンを手に入れよう

リビング

  • 壁掛けテレビの裏に収納スペースを設置して、AV機器やゲームなどを収納する
  • ソファ周りにマガジンラックや小物収納を設置する
  • 下部に収納スペースを備えたベンチや小上がりを作り、季節家電などを収納する
  • リビングにウォークイン式の納戸を設置して、勉強道具やおもちゃなど散らかりやすいものを子供が片付けやすいようにする
  • 掃除道具をまとめて収納する納戸を設置する

関連記事:壁掛けテレビの仕組み―リノベーションの際に、テレビを壁掛けにする時の工夫やアイデアをご紹介

寝室・ベッドルーム

  • ウォークインクローゼットで衣類と寝具をまとめて管理する
  • ベッド下収納を活用し、寝具やシーズンオフの衣類を収納する

洗面・ランドリースペース

  • タオルや洗面用具、掃除用具をまとめて収納できる可動式の棚を壁面に設置する
  • 独立型のランドリールームを設置して、洗濯から収納までの導線を最短にする

関連記事:独立型ランドリールームがトレンド!メリットや設置費用について解説します。

収納用品を活用しよう

片付いた住まいを実現したくて設置した玄関の隣に設置した土間収納やキッチン横のパントリー。扉を閉めるとスッキリとしているように見えるけど、実際は収納エリア内がぐちゃぐちゃで全然活用できていない、という方も少なくないのではないでしょうか?

100円ショップやニトリ、Ikea、無印などにでは収納をより使いやすくするための様々な収納用品が売られています。インスタグラムなどのSNSには、実際の使い勝手をレビューしたアカウントなどがたくさんありますので、それらを参考にしながら自分の住まいに合った収納用品を上手に活用しましょう。

収納用品の選び方

まず、収納したい物の種類や大きさを把握しましょう。洋服、本、食器など、物によって適した収納用品は異なります。例えば、洋服なら衣装ケース、本なら本棚、食器なら食器棚といった具合です。また、収納スペースの広さも考慮する必要があります。

大きな収納庫(パントリー)がある場合は、収納用品の選択肢は比較的たくさんあります。しかし、収納スペースが限られている場合は、省スペースの収納用品を選ぶ必要があります。重ねて使える収納箱や、折りたたみ式の整理棚など機能性も確認しながら最適なアイテムを選ぶと良いでしょう。

収納用品を選ぶコツ

キッチン収納グッズ

引き出しの中は、仕切りケースを使って小物を整理。サイズの異なるケースを組み合わせることで、無駄なスペースを作らず効率的に収納できます。クローゼットには、ハンガーラックやシェルフを設置。衣類の種類に応じて、吊るす収納、畳む収納、箱収納を使い分けることで、取り出しやすく、見やすい収納が実現します。また、ラベリングも効果的です。特に小物や書類の収納には中身が一目で分かるラベルを付けることで、探し物の時間を短縮できます。

収納用品を選ぶ際には、材質にも注目しましょう。プラスチック製は軽く、水に強いという利点があります。木製は丈夫で、見た目にも温かみがあります。金属製は頑丈で、スタイリッシュな印象を与えます。それぞれの材質の特徴を理解し、収納する物や場所に合ったものを選びましょう。

さらに、収納用品の色や形を揃えることで、見た目も美しくなります。同じ色で統一したり、同じシリーズの収納用品を使ったりすると、すっきりとした印象になります。また、ラベルを貼って中身を分かりやすくしておくと、探し物をする手間が省けます。100円均一のお店などでも、様々な収納用品が手軽に手に入ります。工夫次第で、低価格でも快適な収納空間を作ることができます。

収納用品の選び方詳細
物の種類と大きさ収納したい物の種類と大きさに合わせて選ぶ。
例:洋服→衣装ケース、本→本棚、食器→食器棚
収納スペースの広さ収納スペースに合わせて、適切な大きさの収納用品を選ぶ。
スペースが限られている場合は、省スペースの収納用品を選ぶ。
例: 重ねて使える収納箱、折りたたみ式の整理棚
材質材質の特徴を理解して選ぶ。
プラスチック:軽い、水に強い
木製:丈夫、温かみがある
金属:頑丈、スタイリッシュ
色と形色や形を揃えると、見た目も美しくなる。
同じ色で統一、同じシリーズを使う。
ラベルラベルを貼って中身を分かりやすくする。
購入場所100円均一のお店などでも手軽に手に入る。

収納用品を紹介しているお勧めのインスタアカウント

インスタグラムには、様々な収納用品を紹介しているアカウントがあります。「収納 アイデア」などのキーワードでインスタ検索してみて下さい。

見せる収納

収納は「隠す」だけでなく、「見せる」という選択肢もあります。お気に入りの食器や本、アート作品などは棚に飾るように収納することでインテリアのアクセントとなります。オープンシェルフを活用すれば、日常使いの物も素敵なディスプレイの一部となり空間に温かみをプラスできます。

ただし、見せる収納を取り入れる際は収納する物を厳選することが重要です。統一感のあるアイテムを選び、余白を意識した配置を心がけましょう。

定期的に見直しを図ろう

どんなに考え抜かれた収納の仕組みを作ったとしても、定期的に片付けなければあっという間に散らかってしまいます。暮らしの中でモノは増えたり減ったりするものです。使わなくなったモノを処分したり、モノの量に合わせた収納場所を考え直したりすることで、いつも片付いた状態を保つことができます。

また、リノベーションをきっかけに、生活動線に沿った収納を設置してすっきりとした暮らしを実現できたとしても、年数の経過とともに家族のライフスタイルが変わり、それに伴って生活動線も変化します。定期的に見直しを図り、使いづらさを感じるようになってしまった収納についてはアップデートしましょう。また、収納にしまってあるものは定期的に点検をしましょう。着なくなった服や、使わなくなった物は思い切って手放し新しい物のためのスペースを確保します。

日々の小さな改善も大切です。「使ったら戻す」という習慣を身につけることで散らかりを予防できますが、「どうもこのエリアは散らかりやすいな…」と感じる場所がある場合は、改善の余地ありです。

収納は暮らしの土台となる大切な要素です。リノベーションという機会を活かして、理想の収納計画を立ててみませんか?きっと毎日の暮らしがもっと心地よく、豊かなものになるはずです。完璧な収納は、一朝一夕には実現できません。でも、一つずつ改善を重ねていくことで必ず理想の住まいに近づいていきます。素敵な収納のある暮らしづくりを、ぜひ楽しんでください。

季節の変わり目の見直しも習慣化しよう

季節の変わり目は片付けに最適な時期です。衣替えをしながら、棚や押入れの中身を見直してみましょう。着なくなった服や使わなくなった鞄、壊れたおもちゃなどは思い切って処分することで、収納スペースにゆとりが生まれます。また、季節ごとの飾りやイベント用品なども、使わない時期はきちんと箱にしまって保管することで、必要な時にスムーズに取り出せます。

片付けを習慣にするには、家族みんなで収納のルールを決めておくことが大切です。例えば、「使ったら元の場所に戻す」という簡単なルールでも、散らかりを防ぐ効果があります。他にも、おもちゃで遊んだ後は箱にしまう、読んだ本は本棚に戻すなど、具体的なルールを決め、家族みんなで守るようにしましょう。

定期的な片付けは、単に家をきれいにするだけでなく、家族のコミュニケーションを深める機会にもなります。一緒に片付けをすることで、お互いの持ち物や好みを理解し、より良い収納方法を話し合うことができます。また、不要なモノを処分する際には、家族みんなで相談することで、無駄な買い物を減らすことにも繋がります。

片付けのタイミング具体的な行動メリット
定期的な片付け使わなくなったモノの処分、収納場所の見直し片付いた状態を保つ
季節の変わり目の片付け衣替え、棚や押入れの中身の見直し、不要品の処分、季節用品の保管収納スペースの確保、必要な時にスムーズに取り出せる
家族でルールを決める使ったら元の場所に戻す、おもちゃは箱にしまう、本は本棚に戻す散らかり防止
家族で一緒に片付けるお互いの持ち物や好みを理解、収納方法を話し合う、不要なモノを相談して処分コミュニケーションの向上、無駄な買い物の減少
整理整頓された家定期的な片付けを習慣にする心のゆとり、快適な暮らし

まとめ

適切な収納計画がもたらすメリットは、想像以上に大きいものです。物が整理された空間は、視覚的にも心理的にも解放感をもたらします。床に物が散らかっていない状態は、お部屋を実際以上に広く感じさせ、洗練された印象を演出してくれます。

また、生活動線を考慮した収納計画により、必要な物がすぐに取り出せるようになります。探し物の時間が激減することで暮らしのリズムがスムーズになり、空いた時間を自分のために使えるようになるでしょう。

何より大切なのは、整った空間がもたらす心の余裕です。仕事や趣味に忙しい毎日だからこそ、帰宅後にホッと一息つける空間は大切。すっきりと片付いた空間は心を落ち着かせ、本当の意味でくつろげる場所となってくれます。

さらに、計画的な収納は家計の節約にもつながります。何がどこにあるのかが把握できることで、無駄な買い物も減少します。必要なものを必要な分だけ購入する習慣が自然と身についていくでしょう。

このように、収納計画は単なる「物の置き場所決め」ではありません。より快適で豊かな暮らしを実現するための、大切な第一歩なのです。新築やリノベーションを機に、自分らしい収納計画を立てて理想の暮らしを楽しんでください。

この記事の監修者

sugiyama

杉山幸治(株式会社SOWAKA)

一級建築施工管理技士

1977年生まれの瀬戸市育ち。建築工学科を卒業後ゼネコンに入社し、ビルやマンション建築の現場監督からはじまり、気付けば業歴27年。
20代はコンクリートと鉄骨に情熱を注ぎながら資格試験の勉強に没頭し、30代はコンクリートの社寺建築と木造での増築という難易度の高い現場などを経験しているうちに、どんな構造でもディレクションができるようになりました。中古住宅のリノベーションを軸に理想の住まいづくりをする会社の責任者として活動しています。

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