リフォーム・リノベーションで実現したい!快適な暮らしを叶える家事動線とは?

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

リフォーム・リノベーションで実現したい!快適な暮らしを叶える家事動線とは?

リフォームやリノベーションを検討する際、単なる見た目の改善だけでなく、家事動線の見直しを図る事で暮らしの質を大きく向上させることが可能になります。

この記事では、家事動線の概要から、改善する事で得られるメリットや効果についてキッチンやランドリールームなどエリアごとに詳しくご紹介します。リノベーションの際の参考にしてみて下さい。

家事動線とは

家事動線とは、料理、洗濯、掃除といった家事を行う際の移動する経路のことです。朝起きてから夜寝るまで、私たちは毎日たくさんの家事をこなしています。炊事、洗濯、掃除、片付けなど、挙げればきりがないほどです。こうした作業は毎日繰り返されるものだからこそ、家事動線を意識することで、暮らしの快適さが大きく変わってきます。

動きやすい動線を確保することで、家事にかかる時間と労力を減らすことができます。例えば、料理をする際に冷蔵庫から食材を取り出し、シンクで洗い、調理台で調理し、食器棚にしまうといった一連の動作を想像してみてください。これらの場所が近くにまとまっていると、何歩も移動する必要がなくスムーズに作業を進めることができます。

反対に冷蔵庫とシンクが遠く離れていたり、調理スペースが狭かったりすると、無駄な動きが増えて作業効率も落ちてしまいます。

キッチンエリア内での家事動線の例

キッチンに限らず、家事動線を工夫することで家事がスムーズに進み、時間や気持ちに余裕を持って家事に取り組むことができます。家事の負担が軽くなることで、自分の時間や家族と過ごす時間を増やすことができ、より豊かな暮らしを送ることができるでしょう。また、家族みんなが家事に参加しやすくなる点も大きなメリットです。分かりやすく整理された動線は、家族が自然と家事に協力しやすい環境を作ります。

スムーズな家事動線は、家族みんなが快適に過ごせる家づくりの基本です。家づくりやリフォームの際には、ぜひ家事動線を意識してみてください。ちょっとした工夫で、毎日の暮らしがより快適で、リラックスできるものになるはずです。

家事動線の具体例

項目説明
家事動線とは料理、洗濯、掃除といった家事を行う際に移動する経路のこと
動きやすい動線を確保するメリット・無駄な移動や動作が減り、調理時間を短縮できる
・無駄な動きを減らし、作業効率と安全性が高まる
・複数人で家事を分担する際に、お互いの作業を妨げにくい配置になる
家事動線が悪いと生じるデメリット・片付けや掃除の手間が増え、家事全体の負担が大きくなる
・無駄な往復動作で疲労が蓄積する
・かがむ、伸びる等の動作が増え、腰や肩への負担が大きくなる
家事動線が悪い例・冷蔵庫とシンクが遠く離れているため、食材の出し入れに手間がかかる
・キッチンから食卓が遠く、配膳のために何往復もしなければいけない
・重い洗濯カゴを持って何度も階段を上り下りしなければいけない
・収納スペースがないため、リビングが片付かない
家事動線を工夫する事で得られるメリット・時間に追われることなく、心に余裕を持って家事に取り組める
・自分の時間や家族と過ごす時間を増やす
・家族みんなが家事に参加しやすくなる

動線を短くする工夫

家の間取りを考える上で、家事にかかる時間や労力を減らすことは大切なポイントです。なぜなら、家事は毎日発生する作業のため、例え小さなストレスであったとしても繰り返しそのストレスを感じ続ける事になってしまうからです。逆に言うと、家事動線を最適化することで、日々の暮らしをより快適にすることができます。

例えば、洗濯機を洗面所ではなくベランダに隣接した場所に設置することで、洗濯が終わったらすぐに干すことができます。これにより、洗濯物を抱えて家の中を移動する手間を省き、時間短縮にも繋がります。

また、独立したランドリールームを設置する事で、洗濯して、干して、たたんで、収納するという一連の家事を1か所で行えるようにする方も増えています。更に、キッチンとランドリールームを隣同士や廊下を挟んだ向かい側に配置したりすることで、キッチンでの作業中に別の作業が発生した場合でも短い移動で済むため、効率的に家事をこなすことができます。

収納場所も動線を意識して配置することで、作業効率をさらに高めることができます。洗剤や掃除道具も同様に、使い場所に収納できるのが理想的です。キッチンで使う洗剤はキッチンのシンク下に、お風呂場で使う洗剤は浴室の棚に収納することで、わざわざ取りに行く手間を省けます。そうする事で、こまめに掃除する習慣ができて住まいをきれいな状態に維持しやすくなるというメリットもあります。

使う場所に合わせた収納方法も大切です。例えば吊り戸棚ではなく腰の高さの引き出し収納にすることで、踏み台などを使う必要がなくなり、スムーズに物の出し入れができます。

その他にも、アイロン台やアイロンは使う場所に収納したり、掃除機は各部屋に置くなど、使う頻度や用途に合わせて収納場所を工夫することで、家事の負担を軽減して快適な暮らしを実現できます。

動線を短くすることは、家事の時間短縮だけでなく、体への負担軽減にも繋がります。日々の暮らしをより快適にするために、動線を意識した間取りや収納を検討してみましょう。

家事動線を良くするための工夫例

場所ポイント効果
キッチン、洗濯機置き場、物干し場近くに配置する洗濯物を抱えて家の中を移動する手間と時間を省く
キッチンと洗面所隣同士または廊下を挟んで向かい合わせに配置する家事の最中に別の作業が発生した場合でも、短い移動で済む
洗剤、掃除道具使う場所に収納する(例:キッチン用洗剤はシンク下、浴室用洗剤は浴室の棚)取りに行く手間を省く
収納全般吊り戸棚ではなく、腰の高さの引き出し収納にするかがむ動作を減らし、スムーズな物の出し入れ
アイロン台、アイロン使う場所に収納する家事の負担軽減
掃除機各部屋に置かずに一箇所にまとめて収納する家事の負担軽減

キッチン周りの動線

台所は家の中心となる大切な場所です。家族の食事を作るだけでなく、片付けや食料の保存など様々な作業を行う場所です。だからこそ、動きやすさを考えた設計が日々の暮らしの快適さを大きく左右します。

台所での作業は、冷蔵庫から材料を取り出し、洗い、切り、加熱し、盛り付け、そして後片付けまで一連の流れで行われます。この一連の動きを「動線」と呼び、この動線がスムーズであれば作業効率が上がり、調理中の負担も軽くなり家事の時間が短縮できます。無駄な動きを減らすことで、心にゆとりも生まれます。

台所の動線を考える上で重要なのが、「作業の三角形(ワークトライアングル)」と呼ばれる考え方です。これは、シンク(洗い場)・ガスコンロ(加熱調理場所)・冷蔵庫の三点を結んだ三角形を指します。この三角形のそれぞれの辺の長さの合計が3.6メートルから6.6メートルになるのが、動きやすい台所作りの目安です。三角形が小さすぎると動き回るスペースが狭くなり、作業がしにくくなります。反対に大きすぎると、移動距離が長くなり疲れてしまいます。

作業の三角形(ワークトライアングル)

食器棚や調理器具の置き場所も、動線を意識して配置することで、より使い勝手の良い台所になります。例えば、よく使う食器は洗い場の近くに、加熱調理で使う道具は加熱調理場所の近くに収納すると、作業中に何度も往復する手間が省けます。

さらに、家族構成や生活習慣に合わせて動線を工夫することも大切です。例えば、複数人で同時に調理をすることが多い家庭では作業スペースを広めに確保したり、動線が重ならないように配置を工夫する必要があります。また、小さな子供やペットがいる家庭では子供が危険な場所に近づきにくいように配慮することも重要です。

洗濯動線

洗たくに関わる動きの無駄を省く事も、家事ストレスを軽減する大きなポイントになります。いわゆる「洗たく動線」の良し悪しが、日々の暮らしやすさに直結するのです。

まず洗たく機から取り出した洗たく物を、すぐに干せるような間取りを考えてみましょう。洗たく機と物干し場の距離は短いほど良く、移動の負担を最小限に抑えられます。たとえば、洗たく機をベランダや屋内干しスペースに直接つながる場所に置くことで洗たく物を運ぶ手間を省き、時間も節約できます。

洗たく物を干すだけでなく、取り込んだ後のことも考えてみましょう。取り込んだ洗たく物を畳み、仕舞う場所が物干し場の近くにあると便利です。たとえば、洗たく物を収納する棚を物干し場の近くに設置することで、畳んだ洗たく物をすぐに仕舞えるようになり家事の手間を減らせます。

アイロンがけをする場合は、アイロン台やアイロンをかける場所も洗たく動線の中に組み込むと良いでしょう。洗たくが終わった後に、スムーズにアイロンがけに移れるように、アイロンがけスペースを洗たく機や物干し場の近くに配置するのがおすすめです。

さらに、洗たくに使う洗剤や柔軟剤、洗たくかごなどの小物類の収納場所も洗たく機の近くに用意しておくと便利です。洗たく中に洗剤などが足りなくなっても、すぐに取りに行けるため、作業を中断することなくスムーズに洗たくを進められます。

このように、洗たく機の位置だけでなく『干す、畳む、仕舞う、アイロンがけ』といった一連の動作をスムーズに行えるように動線を工夫することで、家事時間を大幅に短縮できます。

ランドリールームの家事動線例

洗濯動線

掃除の動線

家はただ住むだけの場所ではなく、心からくつろげる場所にしたいものです。快適な住まいを保つためには、掃除のしやすさも重要なポイントです。掃除の動線を意識することで、日々の掃除の負担を大幅に減らすことができます。

まず、家具の配置を見直してみましょう。家具と家具の間が狭いと、掃除機をかけにくく、ホコリが溜まりやすくなってしまいます。家具を壁から少し離し、掃除機がスムーズにかけられるスペースを確保することが大切です。また、よく使う掃除道具は取り出しやすくしまいやすい場所に保管しましょう。例えば、掃除機はリビングに置かず廊下の収納庫などに保管することで、必要な時にすぐに取り出せて使わない時は邪魔になりません。

次に汚れやすい場所を把握し、効率的な掃除ルートを考えましょう。玄関は外からの汚れが持ち込まれやすい場所です。玄関からリビング、そして寝室へと続く動線を意識することで、汚れを家全体に広げずに掃除できます。また、キッチンは油汚れ、浴室は水垢やカビが発生しやすい場所です。これらの場所は汚れに気づいたらすぐに掃除できるように、専用の掃除道具をそれぞれの場所に置いておくと便利です。

さらに部屋ごとに小さな掃除道具入れを用意するのも良いでしょう。例えば、洗面所には鏡や洗面台の掃除に使うクロスや洗剤、寝室にはハンディモップなどを置いておけば、気づいたときにすぐに掃除できます。こまめに掃除することで、汚れが蓄積するのを防いで大掃除の手間も省けます。

最近のトレンドとしては、ロボット掃除機の設置を前提として廊下やクローゼットの中にコンセントタップを設置したり、ロボット掃除機の収納スペースを設けたりするという工夫も人気となっています。

掃除の動線を意識し、掃除道具の収納場所や掃除ルートを工夫することで、日々の掃除を楽にすることができます。快適な住まいを保つために、掃除のしやすさも考えてみましょう。

掃除動線のポイント

ポイント詳細効果
家具配置家具と壁の間を空ける、掃除機をかけやすいスペース確保掃除機がかけやすく、ホコリが溜まりにくい
掃除道具の保管場所よく使う掃除道具は取り出しやすく、しまいやすい場所に保管(例:掃除機は廊下の収納庫)必要な時にすぐ取り出せ、使わない時は邪魔にならない
掃除ルート玄関→リビング→寝室の順に掃除、キッチン、浴室は汚れに気づいたらすぐ掃除汚れを家全体に広げずに掃除できる
掃除道具入れ部屋ごとに小さな掃除道具入れを用意(例:洗面所にはクロスや洗剤、寝室にはハンディモップ)気づいたときにすぐ掃除でき、汚れの蓄積を防ぐ

家族構成に合わせた動線

住まいづくりの要となる動線計画。特に、家族構成に合わせた動線設計は、暮らしやすさを大きく左右する重要な要素です。家族みんなが快適に過ごせるよう、それぞれの生活スタイルや年齢、そして家族構成に最適な動線を考えてみましょう。

小さなお子様がいるご家庭では、安全性を最優先に考えた動線設計が大切です。キッチンは、熱い鍋や包丁など危険がいっぱい。お子様がうっかり入ってしまわないように、ベビーゲートを設置するなどの工夫が必要です。また、階段からの転落を防ぐため、手すりの設置も忘れずに行いましょう。さらに、リビングで遊ぶお子様の様子を見守りながら家事ができるように、キッチンとリビングを近くに配置するのも良いでしょう。目が届く範囲でお子様が遊んでいると安心できますね。

高齢者と同居する場合は、安全面に加えて、移動のしやすさを考慮したバリアフリー設計が重要です。段差をなくすことはもちろん、廊下やトイレ、浴室などには手すりを設置し、転倒のリスクを減らしましょう。また、移動の負担を軽減するために、寝室とトイレを近くに配置するのも有効です。高齢になると、夜中にトイレに起きる回数も増えるため、移動距離が短いことは大きな安心感につながります。

共働き世帯では、家事にかかる時間を短縮できるような効率的な動線が不可欠です。キッチン、洗面所、洗濯機置き場など、水回りを近くにまとめて配置することで、家事動線を短くし、時間を有効活用できます。また、収納スペースをうまく活用することで、物の出し入れにかかる手間を省き、家事の効率をさらに高めることができます。

このように、家族構成によって最適な動線は大きく異なります。それぞれの家族のライフスタイルやニーズを丁寧に分析し、家族みんなが快適に暮らせる住まいを実現するために、動線計画をじっくりと検討しましょう。

家族構成別のポイント

家族構成考慮すべき点具体的な対策
小さなお子様がいる家庭安全性キッチンへの進入防止策(ベビーゲートなど)、階段への手すり設置、キッチンとリビングの近接配置
高齢者と同居する家庭安全性、移動のしやすさ(バリアフリー)段差解消、手すり設置、寝室とトイレの近接配置
共働き世帯家事効率水回りの集中配置、収納スペースの活用
ペットがいる家庭安全性、お世話のしやすさキッチンへの進入防止策(ペットゲートなど)、玄関近くへの洗い場の設置

まとめ

家事動線の改善は、見た目の変化以上に、日々の暮らしに大きな変革をもたらします。キッチン、洗濯室、収納スペースなど、それぞれの空間を個別に考えるのではなく、住まい全体の動線として捉え直すことで、より効率的で快適な生活空間が生まれます。

プロの視点を取り入れながら、ご家族の生活スタイルに合わせた動線計画を立てることで、理想の住まいづくりが実現できます。家事の時間短縮による余裕は、家族との団らんや自分の時間として活用でき、より豊かな暮らしへとつながっていくはずです。

この記事の監修者

sugiyama

杉山幸治(株式会社SOWAKA)

一級建築施工管理技士

1977年生まれの瀬戸市育ち。建築工学科を卒業後ゼネコンに入社し、ビルやマンション建築の現場監督からはじまり、気付けば業歴27年。
20代はコンクリートと鉄骨に情熱を注ぎながら資格試験の勉強に没頭し、30代はコンクリートの社寺建築と木造での増築という難易度の高い現場などを経験しているうちに、どんな構造でもディレクションができるようになりました。中古住宅のリノベーションを軸に理想の住まいづくりをする会社の責任者として活動しています。

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