コンテナハウスでの暮らし(鉄骨造なの??固定資産税は?建築許可は??)
執筆:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)
近年、海上輸送用コンテナを店舗にしたり、倉庫、住居にしたりするのが少し流行っているみたいですね。
当社も20フィートの海上用コンテナ2台を倉庫として利用しており、その利便性はとても満足しています。
いま私が計画しているのは、週末はコンテナハウスに住んで畑をメンテナンスをしながらお日様と暮らすこと(笑)
なぜSOWAKAがコンテナに注目しているか
コンテナって何??
日本中、世界に目を向ければ様々すぎる人たちがいるので、ここではあえて愛知県名古屋市、近郊での活用についてのみ説明します。
愛知県はモノづくりが盛んで工業都市でもあります。名古屋港の年間総取扱貨物量は全国1位で国内、国外から大きな規格サイズの箱が船で運び込まれています。
だから名古屋市港区へ行くと大きなコンテナを載せたトラックが行き来していて、貿易によって愛知県を支えています。
そんな規格サイズの見慣れた箱がコンテナと呼ばれるもので、如何にも強そうで物置と比べるとデカい。
近年、このコンテナを活用した貸し倉庫が街の至るところに出現しており、トラックで運んできて置けばすぐに倉庫として使用できるメリットから注目を集めています。
そして、設置が早いだけではなく倉庫を建築しようとすると税金がかかったり、時間がかかったりしてしまう。
コンテナって鉄骨造と同じ考え
前述したコンテナのメリットって軽量鉄骨造と同じ考え方なんです。
近所で「あっ 家が建つのかな??」って思っていたら、ある日に基礎工事を始めて、2週間ぐらいした仕事帰りにいきなり建物が出来上がっていたって経験はみなさんもあると思います。
セキスイハイムや大和ハウスなどのプレハブ式の住宅がそれ。 あらかじめ、工場でほとんど作ってきて、現地まで輸送して繋ぎ合わせることで工期短縮や品質のバラツキを抑える工法です。
コンテナも同じく、運んできて設置したらすぐに使えるから現地職人が要らない。 だから倉庫として使うのであれば導入コストが抑えられ、移設もできるから人気な訳ですね。
コンテナの箱って内部はどうなっているのでしょうか。
まず、外側はみなさんが見たことがあるとおり壁も屋根も凹凸のある鉄板でできています。
そして、あまりお目にかからない底面については30センチごとにスチール製(鉄)の骨組みがあり28ミリのベニヤが張ってあるだけとなっています。
だから、基本的には全部鉄板で覆われている訳ではなく、底面だけはスチール製のフレームにベニヤが張ってあるので6面のうち5面は鉄板でも1面だけは違います。
改造されたものなどは6面共に鉄板となっていることもありそうですが、海上輸送用のコンテナは基本的にはそういう構造となっています。
内部は・・・ 実は予想されているとは思いますが、そのままです。
壁と天井は鉄板のままで、床はベニヤになっています。
実は、この状態もハウスメーカーの構造と似ている(笑)
家とコンテナでは規模が違いますが、20フィートの海上用コンテナの寸法が幅235センチ×奥行きが605センチ(約14平米)に対して、セキスイハイムでは幅240センチ×奥行380センチぐらいの箱を運搬して繋ぎ合わせて住宅としていますので一緒ですね。
サイズはISO(国際標準化機構)で決められた規格となっており、
20フィート 幅235センチ×奥行605センチ×高さ259センチ(外寸) 約14.2平米(8.77帖)
40フィート 幅235センチ×奥行1219センチ×高さ259センチ(外寸)約28.6平米(17.6帖)
材質はアルミ製、スチール製、FRP製の3種類ありますが、スチール製の方が耐久性やコストが優れているので一般的です。
また、種類も常温コンテナ(ドライ)と保温コンテナ(リーファー)が一般的ですが、屋根が無いタイプや壁の一部が無いタイプなど9種類ぐらいあります。ここでも一般的に倉庫や改造して使うコンテナとしては常温コンテナとなります。
軽量鉄骨造のハウスメーカー等をリノベーションする際はコンテナと同じ状態まで解体してから作り始めることが多いので夢が広がりますね。
これは1980年代のセキスイハイムをリノベーションする為に内部解体をした時の写真です。
住宅なので、外壁は鉄板に石膏ボードが張られているためグレー色に見えます。箱のフレームにスチール製の屋根と外壁が付いていて床はスチール製の下枠に木材で45センチ間隔に下地が作ってあり12ミリの合板が張られていました。
次の写真は少しグレードが高い1990年代のセキスイハイム
前述したようにフレームを組み合わせて大空間を作っています。写真の上部に鉄板の屋根が写っていますね。
全く同じではないのですが、考え方は似ているので改造が可能なことはお分かりいただけたでしょうか。
コンテナ倉庫やコンテナハウスは法律や規制は??
ここまで読んでいるとワクワクしてすぐにコンテナを買って実現したいところですが、税金の問題や家にする為には法律が絡んできますので注意が必要です。
まず、どこに設置をするのか・・・
借りている土地に設置をするのであれば、地主さんに了解を得ないと「移動ができる」コンテナではあるものの移動場所の確保や運搬費がかかってしまうのであらかじめ相談をしておいた方が良いです。
SOWAKAでも20フィートコンテナを駐車場に2台設置していますが、借地なので大家さんと不動産会社には図面を提出して了解を得てからコンテナを購入しました。
所有する土地に設置をする場合は2.5メートル×6メートルの箱って設置をしてみると意外と大きくて存在感があります。 設置をしたことで近所からクレームが来ないかを考えて配慮がある程度は必要です。 設置はできても民法上の問題が発生してしまう設置をすると撤去しなくてはならなくなるかもしれません。
固定資産税がかからない訳ではないことに注意しましょう!
ネットの情報だけで物置やカーポートは大丈夫だからと建築基準法や固定資産税を無視して設置してしまうと撤去命令や税金を加算されます。
地元の工務店やリフォーム屋さんに依頼をすると、そのまま設置してくれるかもしれませんが法律は法律を知っている人にしか笑顔になってくれませんのでココは押えておきましょう。
まず、建築確認申請について。
気持ちが分かるけども、設置の仕方や用途によっては「資産」であったり「建築物」となるので安易に法律を解釈してしまうと痛い目を食らってしまう。
コンテナで家を作るのは家を作るのと変わらないぐらい費用がかかります。にもかかわらず、DIY的な発想で作ってから行政処分を受けて撤去命令や使用禁止となってしまったら、せっかくの努力が無駄になってしまいます。
建築基準法2条に「建物」とは土地に定着する工作物のうち一定のものと定義している。法6条に建築物は確認済証の交付を受けなければならない、法9条に違反建築物の是正、使用禁止の処分、施工業者に対して工事停止の命令を出すことが書かれており、甘くはありません。また、法20条の構造、法48条の用途地域にもクリアする必要があります。
ただ、全てのコンテナハウスに対して建築確認が必要だという訳ではないとも建築基準法に書かれています。
- 都市計画地域及び順都市計画地域に含まれない場所で平屋、かつ述べ面積が200平米以下の場合
- 土地にアンカーや基礎等で定着しておらず、おおよそ2時間程度で移動が可能と判断されるもの
これらに該当する場合は建築確認をせずコンテナハウスを設置することができますが、果たして固定されていないコンテナに住めるのか・・・という話題になりそうですね。
次に固定資産税については
国土交通省から「コンテナを利用した建築物の取扱い」について取決めがされているのですが、建築物であればコンテナに対して建物としての固定資産税がかかり、定着されている土地に対しても固定資産税がかかることとされています。
前述しましたが、建築物というのは建築基準法2条に「建物」とは土地に定着する工作物のうち一定のものと定義していることから、定着というその場所において工作物が容易に動かせない状態が継続していることを意味しており、置くだけであれば物置と同じで固定資産税がかからない。(設置場所の市町村によって異なる場合がある)
なかなかグレーな話ではあるものの、イナバ物置でも基礎を作ってボルトで留めれば「土地に定着」することとなるので固定資産税がかかりますが、コンクリートの上に物置を置いただけであればすぐに移動ができることから「定着していない」となる。
そんなん、ボルトなんてすぐに外せるじゃん!! って思いますよね。
これには、ちゃんと道具を使わずに動く、吊り上げられるという前提があるんです。
だから、コンテナハウスを置いただけであっても
給排水、ガス、電気が道具を使って外さないといけない場合はかなりグレーな考え方となります。
トレーラーハウスやキャンピングカー、キッチンカーとは違ってエンジンをかけてすぐに動く訳ではないことから、もし考え方としてそういうイメージであれば考え直したほうが良さそうですね。
色々と計画していってもかかる税金などはちゃんと支払いしましょう(笑)
海上用コンテナは倉庫としての活用がベスト
Instagramなどを見ているとコンテナをお洒落に改造して使っている写真が載っていますね。
ひとつ大事なことをお伝えすると、常温コンテナ(ドライコンテナ)を建物として建築申請することはできません。
これは、ISOの海上輸送用コンテナに建築基準法で定められているJIS(日本産業規格)鋼材が使用されていおらず日本の建物には使えない鉄だから。
えっ!!
ISOは国際標準化機構で、JISは日本産業規格。 まったく別物なのです。
実は・・・ネジもISOのネジとJISのネジがあるように、世界基準と日本基準は違うので注意が必要。
また、材質だけではなく、海上輸送用コンテナ(常温コンテナ)の多くは壁全体で建物の重さや外圧を支える壁構造となっているため、扉を閉めて輸送する時はとても強度が強いが扉を開けると強度が変化することから建築基準法をクリアできないです。それを補うためにはJIS鋼で補強するなどして構造強化をすることで技術的には建築基準法をクリアすることができますが、割高になるのでメリットがなくなってしまう。
だから、Instagramなどで事例として載っているコンテナハウスはJIS鋼材を使用した柱と梁で形成されたユニット構造のコンテナを改造して製作されています。
だから、ほぼほぼセキスイハイムと同じなんです。
なーーーーんだ。
そう。なーーんだ ですよね。
コンテナとしても使えるのですが、そもそもが海上用コンテナの倍以上高いコンテナなのでコンテナとして使っている人よりも建築用に使うコンテナなんです。
そのコンテナを使えばコンテナ風で自由設計のセキスイハイムみたいなユニット構造の建物が作れるという訳です。
価格も坪75万円~坪85万円ぐらいはかかるので、木造住宅を新築するのとあまり変わらないぐらいかかります。
建物としては割高なのですが、鉄骨造として考えれば割安。
愛知でコンテナを利用する場合
当社の利用しているコンテナ倉庫は1台がノーマルな観音扉。もう一台が観音扉を外してシャッターに改造したものです。
どちらもとても使いやすい。
観音扉のコンテナは密閉性と防犯性能が高いので電動工具などの購入すると高い道具類が保管されており、シャッターのコンテナには仮設で使うものや、日常的に出入りが激しい材料などを保管しています。
当社がコンテナにしたのは、10帖と4.5帖ほどのイナバ物置が資材置場に設置してあるのですが、何度も盗難被害にあっていたからです。
電動工具などを全部盗られ、何度も新しく買っては盗られを繰り返したことから、物置も壊れてしまったし被害総額だけで百万円ちょっとになるので、今は防犯対策を施したコンテナか会社の中に集約しています。
スチールラックを設置して分類別に収納しているので、取り出す時もとても便利。
名古屋市内の街なかに大きなコンテナを設置する方は少ないと思いますが、尾張旭市の様な郊外であれば比較的土地が空いていることや土地の価格とのバランスからも検討をする方がいると思います。
私はコンテナ利用をするのであれば建築基準法に適法させる建築物を作るのではなく、あくまで仮設としての利用をお勧めしたいところ。
1.5tほどあるコンテナなので強風や台風で飛ばされることもないし、わざわざ土地に定着させて利用するのではなく倉庫や小規模なショップ、別荘的な部屋として所有するのはアリだと思います。
コンテナの広さを知りたい
SOWAKAの駐車場に20フィートコンテナが設置されているので、見学予約をしていただければ内部を見ることができます。
ちなみに、20フィートだと普通の道路幅で運搬ができますが、40フィートだと曲がり角などがあると運搬ができないので注意が必要で、設置場所もSOWAKAは80坪ぐらいの場所に2台設置していますが、コンテナをトラックから降ろす際には真横に下ろすのが基本となるのでコンテナの倍ぐらいの幅がないと設置ができないです。
コンテナの中って暑いのでは??コンテナハウスでの暮らし
暑いですよ~ 7月、8月、9月は断熱されていないコンテナの中に30分居たら熱中症になってしまいます。
これは密閉された家の中でも同じですね。
暑い、寒いなど室内環境を良くするためには断熱が必須となります。
SOWAKAは断熱リノベーション、鉄骨造リノベーションが得意な会社だからこそ良い提案をできます。
また、冒頭に書きましたがコンテナハウスでの暮らしは別荘の様な感覚が一番良いのではないかと思います。
メインとなる「家」はちゃんとあって、アウトドアが好きな方が2拠点生活で泊まることができる程度としないと費用対高価がとても悪い。
家の庭では焚火ができないけど、コンテナハウスならアウトドアができる環境に設置すれば、夕方から火を起こし始めて夕食を作り、片付けをしながら焚火に火を移して暖かい紅茶を飲みながら夜空を眺めボーーーっとする。 片付けもキャンプとは違い持って帰らなくても良いから楽で、眠くなったらコンテナハウスに入って安全に就寝する。 朝を迎え、畑から野菜を収穫して家から持ってきたパンに挟んで食べる。
とても人間らしい生活ができる。
私は仕事で出社しなくてはならないし、普段の生活はコンビニが近い方が良いので田舎暮らしができない性格です。
ただ、こういった暮らし方であれば自分らしくお日様と共に暮らしていける気がします。
名古屋でリノベーションをするならSOWAKA
株式会社SOWAKAは、名古屋市を中心に数多くのリノベーションを手掛けてきました。
この記事でご紹介したようなコンテナの活用についても、ご要望をお伺いしながら最適なデザイン・素材のものをご提案させていただきます。
ビル、マンション、戸建て、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造、混構造など様々な用途や構造にも適切に対応ができるSOWAKAならでは提案力で、
リノベーションを通じてお客様の夢を叶えるお手伝いをいたします。
リノベーション事例
名古屋市内を中心に、愛知県全域で多数のリノベーションの事例があります。
是非ご覧ください。
株式会社SOWAKA
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