断熱リノベーションの重要性と効果:名古屋市の実例から学ぶ快適な住まい作り
執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)
執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)
近年、住宅の断熱性能は日本国内で大きな関心を集めています。
本記事では、具体的な施工例を通じて、断熱リノベーションの重要性や効果を詳しく解説します。
断熱性の向上がいかにエネルギー効率を高め、居住者の快適性を向上させるかを考え、長期的な視点から最適な住宅改善を探ります。
日本の建物の課題と政府の取り組み
日本の建物はとにかく暑くて寒い!と言われています。
名古屋も例にもれず、断熱性能の低い住宅内は夏はとにかく暑く、冬は凍える程寒いです。
この問題の一因として、従来の断熱材の品質や使用方法が十分でないことが挙げられます。実際、断熱材を見ればその薄さや効果の限界が一目瞭然であり、断熱性能の低さは住まいに関する不満点の定番となっています。
しかし、近年の10年間で日本の建築基準や環境基準は大きく変化し、断熱に対する基準は欧米の水準に近づきつつあります。これは、より厳しいエネルギー効率基準の導入や、断熱材の技術革新によるものです。具体的には、断熱材の厚みや材質が改善され、建物全体の断熱性能が向上しました。これにより、住環境の快適性が飛躍的に向上し、冷暖房のエネルギー消費も削減されています。
このような進展は、政府が建物の省エネルギー化に本格的に取り組み始めたことにより実現しました。政府は、エネルギー効率の高い住宅を普及させるために、新しい基準の制定や補助金制度の導入、さらには省エネルギー住宅の普及啓発活動を積極的に行っています。これらの施策により、新築住宅だけでなく既存住宅の断熱改修も進められ、全国的に建物の性能が向上しています。
また、政府の取り組みは、断熱材の研究開発を後押しすることで、さらなる技術革新を促しています。企業や研究機関が開発した新しい断熱材は、従来のものよりも効果的に熱を遮断し、建物の温度を快適に保つことができます。このような高性能断熱材の普及により、居住者はより快適で健康的な生活を送ることが可能になりました。
このように、日本の建物は政府の取り組みにより、断熱性能が飛躍的に向上し、住環境の快適性が大きく改善されています。これからもさらなる技術革新が期待され、よりエネルギー効率の高い建物が増えていくことでしょう。
断熱リノベーションを長期的視点で考える
当社では、お客様の住宅をリノベーションさせていただく際には、長期的視点でどんな工法を選択するべきかをしっかりと考えてご提案するようにしています。
と言うのも、当社が手掛けるリノベーションは1,500万円以上はかかるので、一度工事を終えた物件は、それ以降20年以上は大規模に建物を触ることはなくなります。
リノベーション前の物件が築25年だと仮定した場合、リノベーションを実施して20年が経過した時点ではその建物自体は築45年となります。
せっかく大規模なリノベーションを実施したのに、住宅の築年数だけではなく性能も建築当時の仕様のままではもったいないですよね。
そんな事を考えながら、お客様の物件をリノベーションさせていただいています。
費用についても長期的な視点が必要
住宅全体を作り変えるリノベーションをするのであれば、見た目や間取りだけではなく省エネや断熱につながる設備にもある程度の投資をすることをお勧めしたいです。
一般的に断熱工事は最低でも300万円の費用がかかりますが、この金額はあくまでも「家全体のリノベーションを実施するタイミングで、同時に断熱工事を実施した場合」の金額です。
断熱工事は、床や壁全体への施工が必要となるため、断熱リノベーションだけを300万円で実施することはできません。
そう考えると、リノベーションを行うタイミングで断熱対策工事も併せて行い、住宅全体の費用として借りたローンを20年ほどかけて返済していくと言うのが、長期的に見て最も経済合理性が高いと言えます。
実体験からのアドバイス
私の自宅は15年前にリノベーションをしました。
15年前は、まだ断熱の基準が旧来のものであったため、残念ながら十分な断熱効果が得られているとは言い難い状況です。
もし、今リノベーションをするのであれば絶対に万全の断熱対策をしたいと思っています。
とはいえ、建築基準や環境基準、建材の性能などはどんどんと改善されたり質が向上したり、新しい技術が取り入れられたりと常に進化し続けているので、その時にベストを尽くす以外に方法はないですね。
断熱リノベーションをされたお客様の声
断熱リノベーションの効果について、実際に当社で断熱リノベーション工事をされた方のコメントをご紹介しています。
断熱リノベーションでそんなに変わるの???と思った方は、セルロースファイバーで断熱対策した当社事務所に体験しに来てください。
床下断熱材の仕様(厚さ)について
断熱材にも様々な厚さがあり、厚みがある方が高い断熱効果が期待できます。
弊社が標準仕様として採用している床下断熱材の厚さが8センチ。よくある床下断熱材は4センチ5ミリなのですが、全然性能が違います。
床断熱は大人が暖かく感じられても、背の低い子供にとっては床下からの冷えを感じて快適ではないという事が少なくありません。
「予想平均温冷感申告」(通称PMV:Predicted Mean Vote)というデンマークの大学教授が提唱した温熱4要素・着衣量・代謝量を考慮し、暖かくもなく涼しくもない熱的中立に近い状態おいて、温冷感の平均値において大多数の人が不快にならない理論的に予測する温熱指標というものがあります。参考資料:予想平均温冷感申告(Wikipedia)
「この基準を満たして快適な暮らしを叶えて欲しい」という想いから、当社では8センチの床下断熱材を標準仕様としています。
実際の断熱リノベーション工事の様子
上記は当社が、名古屋市熱田区で施工した積水ハウスの重量鉄骨造3階建てをフルリノベーションした際の断熱充填作業の様子です。
断熱材を床下と壁の内部に充填している様子がお分かりいただけると思います。
住宅省エネ2024キャンペーンを活用しよう
上述したとおり、日本の建物の断熱性能はこの10年で改善が進んでいます。断熱性能の向上は、建物の快適性を高めるだけでなく、エネルギー消費の削減にも寄与しています。
日本政府は省エネ対策の一環として、住宅の断熱性能を向上させる取り組みを進めています。具体的には、「住宅省エネ2024キャンペーン」という施策を実施し、断熱材の改善や高効率な窓ガラスの導入に対して補助金を提供しています。
このキャンペーンは、国土交通省、環境省、経済産業省が合同で行っており、予算も数千億円規模で組まれています。
これにより、多くの家庭が断熱性の高い住宅への改修を行うことができるようになっていますので、この機会に是非断熱リノベーションについて考えてみませんか?
また、建材メーカー大手のLIXILも住宅省エネ2024キャンペーン支援事業者としてキャンペーンを実施しています。
ホームページで様々な情報を詳しく紹介しているので、是非参考にしてみて下さい。
超おトクにリフォームできる補助金を人気実演販売士が解説している動画(LIXILサイトより)
この記事の監修者
杉山幸治(株式会社SOWAKA)
1977年生まれの瀬戸市育ち。建築工学科を卒業後ゼネコンに入社し、ビルやマンション建築の現場監督からはじまり、気付けば業歴27年。
20代はコンクリートと鉄骨に情熱を注ぎながら資格試験の勉強に没頭し、30代はコンクリートの社寺建築と木造での増築という難易度の高い現場などを経験しているうちに、どんな構造でもディレクションができるようになりました。中古住宅のリノベーションを軸に理想の住まいづくりをする会社の責任者として活動しています。
リノベーション事例
名古屋市内を中心に、愛知県全域で多数のリノベーションの事例があります。
是非ご覧ください。
株式会社SOWAKA
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