断熱サッシで省エネリフォームを実現して、快適な住まいへ!

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

断熱サッシで省エネを実現して、快適な住まいへ!

住まいの温かさについて考える時、「断熱サッシ」という選択肢について考える方はたくさんいらっしゃると思います。

断熱サッシには、二重サッシの他に2枚以上のガラスを重ねて空気層を作り、断熱性と気密性を高めたアルミサッシやプラスチック樹脂製のサッシなどがありますが、断熱リフォーム工事や省エネリフォーム工事で、どのサッシを取り入れると良いのか良く分からない…。

この記事では、断熱サッシの種類や特徴、補助金などについて詳しく解説します。

断熱サッシとは

窓から逃げる熱や外から入ってくる熱を少なくするために作られた特別な窓枠のことを、断熱サッシと呼びます。窓は、家の中で一番熱の出入りが激しい場所です。そのため、断熱性能が低い窓だと、せっかくのエアコンの効きが悪くなって、電気代が高くなってしまいます。断熱サッシは、この窓の断熱性能を高めることで、快適な室温を保ちながら、冷暖房費を節約することができます。

断熱サッシには、特別なガラスと窓枠が使われています。例えば、ガラスは2枚重ねになっていて、その間に空気やアルゴンガスという特別なガスが入っています。これにより、1枚だけのガラスと比べてとても断熱効果が高くなります。また、ガラスに特別な金属の膜をコーティングした「Low-E複層ガラス」は、さらに断熱効果を高め、夏の暑い日差しも防いでくれます。

窓枠の材料も大切です。普通のアルミサッシに比べて、プラスチック(樹脂)でできたサッシや、プラスチックとアルミを組み合わせたサッシは、熱を伝えにくい性質があります。さらに、窓枠の中に断熱材を入れることで、より高い断熱効果が得られます。

断熱サッシの良いところは、冬は部屋の暖かい空気を外に逃がさず、夏は外の暑さを部屋の中に入れにくくすることです。そのため、一年中快適な室温で過ごせます。エアコンの効きも良くなるので、電気代の節約にもつながります。

また、断熱サッシには窓に水滴(結露)が付きにくいという特徴もあります。冬に窓が冷えすぎると、空気中の水蒸気が冷やされて水滴になりますが、断熱サッシは窓の温度を部屋の温度に近づけるため、水滴ができにくくなります。水滴はカビやダニの原因になるので、断熱サッシは健康的な住まいづくりにも役立ちます。

断熱サッシの主なポイント

  • 窓からの熱の出入りを抑える特殊な窓枠で、一般的なアルミサッシより断熱性能が高い
  • 複層ガラス(2枚重ね)と特殊ガスの封入により、一枚ガラスよりも大幅に断熱効果が向上
  • 窓枠には熱を伝えにくい樹脂(プラスチック)や樹脂とアルミの複合材を使用
  • 冬は暖房の熱を逃がさず、夏は外からの熱を遮断することで、年間を通じて快適な室温を維持
  • 冷暖房の効率が上がるため、光熱費の節約につながる
  • 窓の表面温度が室温に近づくため結露が発生しにくく、カビやダニの防止にも効果的

項目内容
断熱サッシの目的窓からの熱の出入りを少なくし、光熱費を節約し、快適な室温を保つ。
断熱サッシの特徴特殊なガラスやサッシ枠の構造によって、熱の伝わりを抑える。
ガラスの種類複層ガラス:2枚のガラスの間に空気やアルゴンガスなどを封入。
Low-E複層ガラス:特殊な金属膜をコーティングし、断熱性と日射熱遮蔽性を向上。
サッシ枠の素材樹脂サッシ:熱伝導率が低い。
複合サッシ:樹脂とアルミを組み合わせたもの。
サッシ枠内部断熱材を入れることで、より高い断熱効果が得られる。
効果冷暖房効率向上による光熱費節約
(冬:暖気を逃がさない、夏:外からの熱を遮断)
結露防止効果

断熱サッシの種類

窓の断熱性を高めることは、快適な住まいを実現するための重要な要素です。断熱サッシには大きく分けて、二重サッシ、複層ガラスサッシ、樹脂サッシの三種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

【二重サッシ】
まず、二重サッシは既存の窓の内側に新たな窓をもう一枚設置する方法です。二枚の窓の間に空気の層が生じることで、断熱効果を高めることができます。比較的安価で施工しやすいという利点がありますが、開閉の手間が倍になり、掃除の手間が増えること、また、内窓の設置スペースが必要となるため、部屋が狭く感じるといったデメリットもあります。

【複層ガラスサッシ】
次に、複層ガラスサッシは、二枚のガラス板の間に空気やアルゴンガスなどの断熱材を封入した特殊なガラスを使用しています。この構造により、高い断熱性能と遮音性能を両立することができます。既存のサッシ枠に複層ガラスをはめ込むだけで交換できる場合もあり、手軽に断熱性を向上させることができます。初期費用はやや高額になりますが、冷暖房費の節約効果は高く、長い目で見ればお得と言えるでしょう。

【樹脂サッシ】
最後に、樹脂サッシは、熱を伝えにくい樹脂素材を窓枠に使用したサッシです。アルミサッシと比べて熱伝導率が低いため、冬場の窓際の冷え込みや結露を大幅に軽減することができます。また、耐久性にも優れており、メンテナンスの手間も少ないという利点があります。しかし、樹脂サッシは他のサッシに比べて高額であり、初期費用がかかることがデメリットと言えるでしょう。

【選び方のポイント】
どの断熱サッシが最適かは、住宅の状況、予算、そして求める性能によって異なります。既存の窓の状態、建物の構造、周辺の環境などを考慮し、専門家と相談しながら最適なサッシを選ぶことをお勧めします。それぞれのメリット・デメリットを理解し、納得のいくリフォームを実現しましょう。

種類メリットデメリット
二重サッシ比較的安価、施工が容易開閉の手間、掃除の手間、部屋が狭く感じる
複層ガラスサッシ高い断熱・遮音性能、既存サッシ枠に設置可能初期費用はやや高額
樹脂サッシ高い断熱性、結露軽減、耐久性、メンテナンスの手間が少ない高額

断熱サッシのメリット

【光熱費の節約】
家屋の窓を断熱サッシに取り換えることで、様々な利点を得られます。まず一番に挙げられるのは、光熱費の節約です。断熱サッシは、外の暑さ寒さを室内に伝えにくく、また室内の温度を外に逃がしにくくする優れた機能を持っています。そのため、冷暖房の効率が上がり、使うエネルギーを抑えることが可能になります。夏の暑い時期には、冷房の設定温度を高めに設定しても涼しく過ごせますし、冬の寒い時期には、暖房の設定温度を低めに設定しても暖かく過ごせるので、電気代の節約に繋がります。

【快適な室内環境】
次に、室内環境の快適さが向上します。断熱サッシは、外の気温の影響を受けにくいため、室温を一定に保つ効果があります。夏は涼しく、冬は暖かい快適な空間を作ることができ、一年を通して心地よく過ごすことができます。窓ガラスの表面温度が外気温に近づくため、窓ガラスに水滴が付く結露の発生を抑える効果も期待できます。結露は、カビやダニが発生する原因となるため、健康面でも大きな利点と言えるでしょう。

【遮音性と紫外線対策】
さらに、断熱サッシは遮音性能にも優れています。外の騒音を室内に伝わりにくくし、静かで落ち着いた住環境を実現します。車の音や近隣の生活音など、外部の騒音が気になる方には特におすすめです。また、紫外線もカットしてくれるため、家具や床の日焼けを防ぎ、劣化を遅らせる効果も期待できます。

このように、断熱サッシは光熱費の節約、快適な室内環境の実現、健康面の向上、遮音性の向上など、多くのメリットをもたらします。初期費用はかかりますが、長い目で見れば、生活の質を向上させ、快適で健康的な暮らしを送るための賢い投資と言えるでしょう。

メリット効果
光熱費の節約断熱効果により冷暖房効率向上、電気代節約
室内環境の快適さ向上室温一定、結露抑制、カビ・ダニ発生抑制
遮音性向上騒音低減、静かな住環境
紫外線カット家具や床の日焼け防止、劣化防止
健康面の向上結露抑制によるカビ・ダニ発生抑制

断熱サッシの選び方

家の窓を新しくする際、断熱サッシを選ぶことは、快適な暮らしと光熱費の節約に繋がります。しかし、一口に断熱サッシと言っても、様々な種類があり、どれを選べば良いのか迷ってしまう方も多いでしょう。そこで、断熱サッシを選ぶ際の大切な点について、詳しくご説明いたします。

【熱貫流率のチェック】
まず初めに注目すべきは「熱貫流率」です。熱貫流率とは、窓からどのくらいの速さで熱が出入りするかを示す数値で、単位は「ワット毎平方メートル毎ケルビン(W/㎡・K)」で表されます。この数値が小さいほど、熱の出入りが少なく、断熱性能が高いことを意味します。一般的に、断熱サッシと呼ばれるものは、熱貫流率が3.5W/㎡・K以下のものを指します。省エネ基準を満たす住宅では、地域によって求められる断熱性能が異なるため、お住まいの地域に合った熱貫流率のものを選びましょう。

【ガラスの種類の選択】
次に、ガラスの種類にも注目しましょう。一枚のガラスではなく、二枚以上のガラスを重ねた複層ガラスが断熱性能の向上に役立ちます。複層ガラスには、ガラスとガラスの間に空気層を設けたものだけでなく、アルゴンガスやクリプトンガスなどの熱伝導率の低いガスを封入したものもあります。ガス封入型の複層ガラスは、空気層だけのものよりもさらに断熱性能を高めることができます。

【サッシ枠の素材選び】
さらに、サッシの枠の素材も重要な要素です。従来よく使われてきたアルミ製のサッシは熱を伝えやすい性質がありますが、樹脂製のサッシは熱伝導率が低いため、アルミサッシに比べて断熱性能が格段に向上します。そのため、断熱性を重視するのであれば、樹脂サッシを選ぶことをおすすめします。最近では、アルミサッシの表面に樹脂を被せた複合サッシもあり、アルミサッシの強度と樹脂サッシの断熱性を兼ね備えています。

項目詳細補足
熱貫流率窓の熱の出入りの速さを示す数値(W/㎡・K)。数値が小さいほど断熱性能が高い。一般的に3.5W/㎡・K以下が断熱サッシ。地域によって省エネ基準が異なる。
ガラスの種類複層ガラスが断熱性能向上に効果的。空気層だけでなく、アルゴンガスやクリプトンガス封入型もある。ガス封入型は空気層型より断熱性能が高い。
サッシ枠の素材樹脂サッシはアルミサッシより断熱性能が高い。複合サッシは両者の利点を併せ持つ。アルミサッシは熱伝導率が高い。
費用と施工業者複数の業者から見積もりを取り、費用、保証内容、アフターサービスなどを比較検討する。総合的に判断して最適な業者を選ぶ。

補助金制度の活用

家の工事費用を抑えるために、使えるお金の制度についてお話します。窓を断熱性の高いものに取り替える工事には、思った以上にお金がかかることがあります。しかし、国や地方の自治体がお金を出してくれる制度があるのをご存知でしょうか?

これらの制度は、省エネルギー効果の高い家に住み替える人を応援するために作られました。断熱性の高い窓を取り付けることで、家の温かさや涼しさを保ちやすくなり、冷暖房に使うエネルギーを減らすことができるからです。つまり、地球環境にも家計にも優しい取り組みなのです。

窓の断熱改修工事に対して、どれくらいのお金がもらえるかは、住んでいる地域によって違います。各自治体で独自のルールを設けているため、工事前に必ず確認することが大切です。役所の担当部署に問い合わせたり、自治体のホームページを見たりすることで、詳しい情報を知ることができます。

もらえるお金の種類も様々です。工事費用の一部を補助してくれるものもあれば、税金を安くしてくれるものもあります。また、補助金や減税といった制度以外にも、低金利で融資を受けられる制度を用意している自治体もあります。これらの制度をうまく活用することで、初期費用を抑え、高性能な断熱窓を設置することができるでしょう。

自分でお金の制度を調べるのは大変だという方は、工事をしてくれる業者に相談してみるのも良いでしょう。リフォーム業者の中には、これらの制度に詳しいスタッフがおり、申請手続きを代行してくれるところもあります。専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った制度を見つけることで、よりスムーズに工事を進めることができるはずです。

制度の種類概要入手方法
補助金工事費用の一部を補助各自治体の担当部署、ホームページ
減税税金を安くする各自治体の担当部署、ホームページ
低金利融資低金利で融資各自治体の担当部署、ホームページ

先進的窓リノベ2024について

先進的窓リノベ事業とは、環境省が実施している補助金事業で、既存住宅の窓を断熱性能の高い窓に交換することで、省エネ化やCO2排出量の削減を目的としています。この制度を活用する事で、窓断熱リフォームに対する補助金を受ける事ができる場合があります。

【先進的窓リノベ2024事業で、補助金はいくらもらえる?】
補助金は、窓のリフォーム工事にかかる費用の約50%が交付され、一戸あたり5万円から最大200万円までが定額で支給されます。補助金額は、工事の種類や断熱効果、設置する窓の性能と大きさ、設置方法などによって異なります。(先進的窓リノベ2024事業 事業概要より)

重要な注意点】
補助金を受けるには、次の条件を満たす必要があります。

  • 窓のリフォームを行う住宅の所有者であること
  • 窓リノベ事業者と工事請負契約を締結していること
  • 対象製品を使用していること

補助金などの制度を賢く利用して、、快適で省エネな暮らしを実現したいですね。

まとめ

窓の断熱改修は、快適な住まいと光熱費節約を実現する上で非常に有効な手段です。断熱性の高い窓枠(サッシ)は、外の暑さ寒さを室内に伝えにくくし、エアコンなどの使用を抑える効果があります。

断熱サッシには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。材質はアルミ、樹脂、木製などがあり、アルミは強度が高く、樹脂は断熱性に優れ、木製は自然な風合いが魅力です。ガラスの種類も単板、複層、真空などがあり、複層ガラスや真空ガラスは断熱性能が高いです。また、窓の開き方にも引き違い窓、開き窓、滑り出し窓などがあり、それぞれに使い勝手や断熱性能が異なります。

断熱サッシを選ぶ際には、ご自宅の気候や窓の向き、予算などを考慮することが大切です。例えば、日当たりの良い窓には遮熱性の高いガラスを選ぶ、冬に冷え込む地域では断熱性の高い樹脂サッシを選ぶなど、環境に合わせた選択が重要です。

断熱サッシの導入費用は、窓の大きさや性能、工事内容によって異なりますが、自治体によっては補助金制度が利用できる場合があります。補助金制度を活用することで、初期費用を抑えながら高性能な断熱サッシを導入できる可能性があります。

断熱サッシの導入は、快適な室内環境の実現だけでなく、光熱費の節約にも繋がります。また、断熱性能の向上は、冷暖房効率を高め、省エネルギーにも貢献します。さらに、窓の断熱改修は住まいの資産価値を高める効果も期待できます。快適な住まいづくりを検討している方は、ぜひ断熱サッシ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

項目内容
効果快適な住まい、光熱費節約、省エネルギー、資産価値向上
サッシ材質アルミ(強度高)、樹脂(断熱性優)、木製(自然な風合い)
ガラス種類単板、複層(断熱性高)、真空(断熱性高)
窓の開き方引き違い窓、開き窓、滑り出し窓など
選択時の考慮事項気候、窓の向き、予算、自治体の補助金
費用窓の大きさ、性能、工事内容による (補助金制度あり)

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この記事の監修者

sugiyama

杉山幸治(株式会社SOWAKA)

一級建築施工管理技士

1977年生まれの瀬戸市育ち。建築工学科を卒業後ゼネコンに入社し、ビルやマンション建築の現場監督からはじまり、気付けば業歴27年。
20代はコンクリートと鉄骨に情熱を注ぎながら資格試験の勉強に没頭し、30代はコンクリートの社寺建築と木造での増築という難易度の高い現場などを経験しているうちに、どんな構造でもディレクションができるようになりました。中古住宅のリノベーションを軸に理想の住まいづくりをする会社の責任者として活動しています。

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