【瀬戸市】Y・Y様邸 巾木レスが生む、空間の一体感

Y様邸の床と壁の取り合いには、あえて巾木を設けない巾木レスを採用しました。巾木がないことで、床から壁へ視線が自然につながり、空間がより広く、静かな印象になります。

巾木レスは仕上がりの美しさがそのまま施工精度に表れる納まりでもあります。床・壁それぞれの精度を確認しながら、ミリ単位で調整を重ね、シンプルだからこそ成立する美しさを形にしました。

実は、巾木レスにしたい!とY様の当初からのこだわりだったので、どうやって納めていくかを、丁寧に職人さんとも打ち合わせを行いました。巾木を付けないから作業が減る?なんてことはなくて、巾木を無くすための工程がめちゃくちゃ増えるので、大体の職人さんは「え・・・」って反応します。笑

巾木レスのデメリットについて

巾木レスは、空間をすっきりと見せる一方で、いくつか注意すべき点もあります。

まず、施工精度が非常にシビアであること。
巾木がある場合は多少の誤差を隠すことができますが、巾木レスでは床と壁のラインがそのまま見えるため、下地や仕上げの精度が仕上がりに直結します。

その分、施工には手間と時間がかかり、職人の経験も求められます。ということは、一般的な巾木を設ける納まりに比べて施工費が上がってしまいます。

材料が増えるからではなく、床・壁それぞれの下地精度や仕上げ精度がそのまま表に出るため、下地調整・施工手順・確認工程により多くの手間と時間が必要になるからです。

次に、壁の汚れや傷が目立ちやすい点。
掃除機やクイックルワイパーなどが直接壁際に当たってしまうため、生活の中で擦れや汚れが出やすくなります。これは、目立ってしまうことがあるので、それを踏まえて採用する必要があります。

無垢フローリングは、四季折々の気温や湿度の変化によって、膨らんだり縮んだりする素材です。
そのため、巾木レスの場合は床の動きが壁際に現れやすく、季節によっては隙間が気になることもあります

こうした特性を理解したうえで、床材の選定や施工方法、逃げ寸法の取り方まで含めて計画することが、巾木レスを美しく成立させるために欠かせないポイントとなります。

それでも巾木レスを採用するのは、これらのデメリットを理解したうえで、それ以上に空間の一体感や静かな佇まいを大切にしたい方には、すごく素敵な空間に仕上がります。

巾木レスに“見せる”ための選択肢について

巾木レスというと、「巾木を完全になくす仕様」をイメージされることが多いですが、実は見た目をすっきりさせながら、施工性やメンテナンス性を確保する方法もあります。

そのひとつが、巾木を極力薄くするという選択です。

厚みを抑えた巾木や、壁と同色で仕上げる巾木を採用することで、床と壁の境界線を目立たせず、巾木レスに近い印象をつくることができます。遠目には巾木の存在を感じにくく、空間全体がすっきりとまとまります。

ウッドワンの入り巾木はアルミ製の巾木
一見、巾木レスにも見えるような美しさ

この方法は、
・施工精度へのハードルを少し下げたい場合
・メンテナンス性を重視したい場合
・コストとのバランスを取りたい場合

といったケースで、有効な選択肢です。

SOWAKAでは、「完全な巾木レス」か「一般的な巾木」かの二択ではなく、空間のデザイン・ご予算・暮らし方に合わせて、最適な“巾木のあり方”を考えることを大切にしています。

仕上がりの印象だけでなく、施工性や将来の暮らしまで見据えたうえで、目立たせない、けれど無理はしない。そんな“ちょうどいい納まり”も、ひとつの正解だと考えています。

この記事を書いた人

坂本真由

坂本真由(株式会社SOWAKA)

代表取締役

1984年、熊本県天草市生まれ。
田舎ならではの独特な世界観や価値観に刺激を受けながら育ち、「自分らしく生きる」という人生のテーマを教えてくれた、大好きな地元が私の原点です。

そんな地元を離れたのは、「建築とデザイン」を本格的に学びたかったから。新しい刺激を求めて飛び込んだ専門学校では、建築の基礎から空間づくり、そしてデザインの楽しさを2年間夢中になって学びました。

卒業後は名古屋のビルダーに就職し、現場での経験を重ねながら、より実践的な建築の世界を体感。地元で培った感性と、愛知での学びや経験が、今の私の仕事にしっかりと息づいています。