二世帯住宅で失敗しない!リノベーションする時のポイントと登記方法を詳しく解説

執筆:はちとり(株式会社SOWAKA・スタッフ)

執筆:はちとり(株式会社SOWAKA・スタッフ)

現代化が進むにつれて、若い人が仕事を求めて都会に出るようになり、今は小さな核家族が非常に多くなっています。

しかし一方で両親世代が高齢になるにつれて、高齢者だけでの生活が心配だったり、やはり近くに住んでいるのが安心という理由で、二世帯での暮らしを選択する方もいらっしゃいます。

コロナ禍を経てリモートワークも一般的になり、場所を選ばずに生活しやすくなったのもひとつのポイントですね。

近年はご実家をリノベーションして、二世帯で暮らせるようにリノベーションをしたいというご依頼をいただくことも多いです。

このコラムでは二世帯住宅のリノベーションを検討中の方に向けて、ご相談いただきたい点や注意したい部分を説明していきます。ぜひ参考にしていただけたら幸いです。

二世帯住宅リノベーションのメリット

二世帯住宅にある4つのメリット

  • 精神的な安心感が得られる
  • 家族の中で家事、育児や介護のサポートがしやすい
  • 光熱費の節約になる
  • 相続税などの減税対策

二世帯住宅リノベーションの何よりのメリットは、近くに住んでいるという安心感と、いざという時に協力し合える点です。

特に共働きでお子様が小さいご夫婦の場合、送迎の協力をしてもらえたり、急な発熱の時に看てもらえたりと助かる部分が大きいのではないでしょうか。

また、将来介護が必要になった時には、それぞれの家を行き来することなく、暮らしの中でサポートし合えるのは大きなポイントです。

孫世代のお子さん達にとっても、おじいちゃんおばあちゃんと多くの時間を一緒に過ごせるのは、今の時代にきっと貴重な時間となりますね。

リノベーションスタイルにもよりますが、共有の場所が多ければその分光熱費の節約にも繋がりますし、後に相続税などの減税対策が可能な点など、金銭面でも二世帯住宅には多くのメリットがあります。

また、ご実家をリノベーションされるとなれば、既に土地と建物をお持ちの状態から進めていきますので、新たに物件を探す手間も省けますし、取り壊し費用も節約することができますよ。

二世帯住宅リノベーションのスタイル

一言で『二世帯住宅のリノベーション』と言っても、どこまで共有部分にするかによって様々なパターンを考えることができます。

ご自身の生活スタイルやご家族の性格によっても相性がある部分なので、しっかりと相談していただきたいポイントです。

完全同居スタイル

文字通り、ひとつの家に完全に同居するスタイル

リビングをはじめ、キッチンやトイレお風呂などの水廻りも全て一緒にしたリノベーション計画をしていきます。

二世帯での暮らしはどうしても人数が増えるので、朝の時間は洗面所やトイレが混み合ったり、夜はお風呂にゆっくり入れなかったりと、多少の制約が出てしまうのは理解しておきましょう。

その分家事を分担できたり、大人数でワイワイ暮らすことができるメリットがありますね。

部分同居スタイル

部分同居は、一部共用スペースを作りながら、お互いのプライベートも大切にしていくスタイル。

玄関だけ一緒にして、その他のキッチンやリビングはそれぞれ。

キッチンはそれぞれだけど、お風呂とトイレは共用。

基本は別々だけど、共用のリビングスペースを設ける。

といったように、それぞれの生活スタイルに合わせて多くのリノベーションパターンを検討いただくことができます。

完全分離スタイル

完全分離スタイルは、玄関から水廻りの全てにおいて、世帯ごと別々に計画した二世帯住宅のこと。

1階と2階の上下で分ける場合と、建物の面積が広い場合には、住まいを左右で分けてリノベーションを進めていく場合があります。

ご両親夫婦と若いご夫婦では生活スタイルが違うのは当たり前。お互いの暮らしを尊重しながらも、いざという時は助け合える距離にいる安心感が得られます。

二世帯住宅リノベーションを考えていく上でのポイント

ここからは、それぞれの世帯がストレスなく快適に暮らす為に、二世帯住宅のリノベーションを計画する上での大切なポイントをお話していきます。

➀プライベートと触れ合いのバランスを大切に

毎日顔を合わせる家族の中であっても、たまには一人で周りの目を気にせずに静かに過ごしたい時がありますよね。

また逆に、せっかく二世帯で暮らしているのに全く顔を合わさないのも寂しい気がする・・・。という考えもうなづけます。

上記で二世帯住宅のスタイルをご説明しましたが、『こうしなければいけない』ということは何一つありません。

それぞれの暮らし方に対する考えや、生活スケジュール・方法なども踏まえながら、良いバランスでリノベーションの計画していただくことが大切です。

自分の生活スタイルは崩したくない、ひとりの時間を大切にしたい、という方は完全分離スタイルにしてしまうのがオススメ。

また大勢でワイワイ暮らしたい、家族団らんを大切にしたいと完全同居を選ばれた方でも、少しひとりでホッとする空間を作っていただくと良いのではないでしょうか。

もちろん家族全員それぞれの想いがありますから、リノベーションはよく話し合って決めていくようにしましょう。特に子ども世帯の配偶者は意見を強く言いづらいことが多いので、今後気持ちよく生活していくために、しっかりと配慮することが必要です。

➁暮らしのタイミングや時間を考える

住人が多くなる二世帯住宅へのリノベーションですので、生活時間が重なるタイミングに不便を強く感じることがどうしても多くなります。

特に朝は、家を出るための準備で洗面所やトイレを使用するタイミングが重なりがち。洗面所やトイレが混雑して朝の準備がスムーズに進められず、ストレスを感じたり、そこからトラブルになる可能性があります。

同居される場合でも、トイレを1ヶ所だけでなくいくつか計画したり、洗面所を広めに設計するなど、リノベーションでは間取りの工夫をしていただくのがオススメです。

また、帰宅時間の違いもよく聞くトラブルポイント。帰宅が遅い方や、朝早い方、夜勤のある方など、それぞれの生活時間があるはずです。

生活音は、就寝時間が早い方のストレスになるのはもちろん、「家に帰ってきても、音を出さないように気ばかり使ってのんびりできない…」など就寝時間が遅い側のストレスになる可能性も。

そういったトラブルが心配な際には、リノベ計画の際に独立型の間取りを採用するか、離れた場所に寝室を配置するなどの対策をしていただくのが良いですね。

さらに1階と2階での上下分離スタイルを選択される方は、下の階への防音リノベーションもぜひ検討してみて下さい。特に小さなお子様がいらっしゃる場合は、思っている以上に足音や物音が響く場合がありますよ。

③収納や主要な家電は、それぞれ持っておくのがベスト

二世帯住宅では、収納部分の使い分けに加え、収納の仕方や方法で揉めることもよくあります。

いくら一緒に住んでいるからと言って、自分のクローゼットを勝手にいじられるのは気分が良い物ではありません。とはいえ、もし散らかっている部分があれば、「片づけてあげよう」としてしまうのも自然な流れ。

そのため、リノベーションを計画していく際には、収納を世帯それぞれで別に作っていただくのがベスト。もし場所がなくても、スペースを分けてあらかじめルールを決めておくのが良いですね。

また同様の事例で、冷蔵庫が占有されてしまって物を入れることができなかったり、テレビを占領されてしまって見たい番組が見られないといったことも起こり得ます。

よく使う主要な家電は、それぞれ別で用意しておくとトラブルに繋がりにくくなります

④親世代のスペースはバリアフリーを取り入れるのがオススメ

今は元気なご両親でも、リノベーションをしてこれから先何十年と暮らして行けば、だんだんと高齢になっていくもの。

再度バリアフリー工事を行うのも追加のお金と手間がかかってしまうので、リノベーションを機に先を見越して、親世代の居住スペースはバリアフリーにしてしまうのがおすすめ

バリアフリーというと大袈裟なように聞こえますが、段差を極力なくして、廊下を広めに取り、スライド式の扉をセレクトしていただくだけで、車いすになっても生活しやすい住まいになります。

さらにご希望があれば、トイレやお風呂をバリアフリーの物にしていただくと完璧ですが、共用とされる方も多いので、ご家族で相談してみて下さいね。

⑤あらかじめ生活コストや家事分担について相談しておく

水道代や光熱費など、住まいを一緒にすると金銭面でも共同になる部分が出てきます。

同居で食事を一緒に取るのであれば、毎日の食費をどうするのかといった細かい部分でも相談が必要になりますね。

さらには、お金だけではなく、お風呂の準備や共有部分の掃除など、家事の面でも分業が必要になってきます。

誰か一人に負担がいってしまうと不満が溜まってしまう物。あらかじめどのように生活をしていくのか、支払いはどのようにしていくのかを決めておくとスムーズです。

完全分離の場合は、メーターを分ける事もできるので、そちらも検討していただけると良いですね。

二世帯住宅の登記を考える

リノベーションをした二世帯住宅の登記には、3つの方法があります。

単独登記

二世帯住宅を一戸の住宅として考える方法で、親か子どちらかひとりの名義で登記を行います。一戸の住宅に対して名義人が1人のため、「この土地と建物が誰の物か」がハッキリとしていて、最もシンプルな登記方法といえますね。

単独登記では、登記費用が一度で済むというメリットがありますが、一方で贈与税がかかってくる場合があります。例えば、子ども夫婦もリノベーション費用を半分出したのに、親の単独登記になった場合には、子どもから親にリノベーション資金の贈与があったとみなされて、贈与税がかかってきます。逆に子どもの単独登記になった場合ももちろん同様です。

また、親の単独登記をした後に子への相続が発生した場合には、相続税もかかってきます。ただ、その際には『小規模宅地等の特例』という相続税の優遇が適応されるため、土地の評価額が最大で80%減額できる場合が多いです。

小規模宅地等の特例とは?

被相続人等(上記の場合は登記をしている親)が、直前に自宅の敷地として使っている土地等や、事業用として使っている土地等について、評価額を減額して相続税を計算する制度です。

事業用として使っている土地等については50%または80%、自宅として使っている土地等については80%が減額されます。

この特例が使えるのは、主にその配偶者または同居していた親族。さらには住宅を単独登記もしくは共有登記をしている場合となり、二世帯住宅として区分登記をしている場合には適用できません。(共有登記と区分登記に関しては、この後ご説明をします。)

ただし、同居していない親族も一定条件を満たすことで制度を利用することができたり、税制改正によってたびたび適用条件が変わってくることもありますので、活用を検討する際には確認をするようにしてくださいね。

共有登記

共有登記は、二世帯住宅を一戸の住宅と考えた上で、その住宅を親と子とで共有している物として登記を行う方法で、基本的には、出したリノベーション費用の比率に合わせて共有割合を設定します。そのため、必ず2分の1ずつということはなく、3分の1と3分の2となるケースもあります。

ローンを借り入れた場合の控除も、親と子がそれぞれ利用することができるため、単独登記に比べると節税効果が高まります。

また、上記の『小規模宅地等の特例』も利用できるため、相続面でもメリットがありますね。

区分登記

区分登記とは、二世帯住宅を2戸として考え、それぞれの名義で登記を行う方法。前述したように二世帯住宅にはいくつかのスタイルがありますが、完全分離スタイルの二世帯住宅の場合のみ、区分登記を行うことができます。

登記手数料など登記にかかる費用は2倍になりますが、ローン控除だけでなく、固定資産税や不動産所得税の軽減措置も親と子がそれぞれ対象となるため、節税効果が高い方法です。

一方、相続の際には別の建物として扱われるため、相続税がかかってきます。単独登記や共有登記で利用できた特例は適応外となるので注意が必要です。

相続でトラブルにならないために

二世帯住宅の土地・建物が共有登記だった場合、相続対象は親の区分だけではなく共有部分も含まれてきます。

相続の権利がある親族が複数いる場合、その共有部分をどのようにするかトラブルになることも少なくありません。きちんと相続分を分けるよう求められた場合、断ることはできないのです。

あまり考えたくはないことですが、近年は『終活』をされる方も多くなっています。

そのひとつとして、親世帯が元気なうちに、遺言や話し合いなどの形で相続に関する問題は解決しておくのがおすすめです。

二世帯住宅リノベーションの施工事例紹介

玄関別の二世帯住宅 バリアフリーを重視した空間×回遊性のある間取り

セキスイハイムで建てられた軽量鉄骨造のご実家を、2世帯で暮らす為にフルリノベーションした事例です。

外階段から2階にある玄関に直接入ることができるため、それぞれの暮らし方やペースを尊重しながら無理なく2世帯で暮らしていただけますね。

1階はご両親が今後、車いすでも暮らすことができるようにバリアフリーを重視した住まいに。

2階はご夫婦とお子様のスペース。それぞれの個室ファミリークローゼット見晴らしの良い2階LDKが魅力の住まいです。

家族の「個」を尊重しつつ、「絆」を大切に感じる住まい

ご夫婦、お子様2人、ご両親、それからご夫婦の妹さま、総勢7名での大家族。

部分同居型の住まいは、1階に畳を敷き詰めた広いリビングダイニングを計画し、全員で食卓を囲めるようにしました。家族みんなでワイワイ賑やかに過ごされる様子が目に浮かんできますね。

2階3階にはそれぞれの個室や、収納をしっかりと揃えています。

家族7人がそれぞれのライフスタイルを守りつつ、家族という絆を感じられる住まいになりました。

名古屋で二世帯住宅リノベーションをするならSOWAKA

株式会社SOWAKAは、名古屋市を中心に数多くのリノベーションを手掛けてきました。

木造戸建て、鉄骨造の建物、マンションなど、限定的ではなく幅広い構造の物件を取り扱うことが可能です。

リノベーションは建物の状況、お客様のご希望、タイミング等によって、ひとつとして同じものはありません。

お客様に降り添いながら、様々な建物の構造にも適切に対応ができるSOWAKAならでは提案力で、リノベーションを通じてお客様の夢を叶えるお手伝いをいたします。

リノベーション事例

名古屋市内を中心に、愛知県全域で多数のリノベーション事例があります。
是非ご覧ください。