建物の寿命ってどれくらい?リノベーション可能な物件の築年数とは?

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

リノベーションを行う際に気になるのが、「建物の寿命」ではないでしょうか?

せっかくリノベーションをするのに、ベースとなる建物が老朽化しすぎていてリノベーション後数年しか持たない、なんて言う最悪の事態を回避するために、この記事では建物の寿命について考えたいと思います。

建物を4つの年代で考える

建物の寿命は多くの要因によって異なりますが、日本の建物の寿命を大まかに理解するために、戦後から現在までの建物を4つの年代に分けて考えてみましょう。

  1. 1950年〜1971年までの建物
  2. 1971年〜1981年までの建物
  3. 1981年〜2000年までの建物
  4. 2000年以降の建物

これらの期間ごとに建物の耐久性や建設基準、品質に大きな違いがあります。特に1981年に建築基準法の改正が行われて以降は、その違いが顕著です。

1950年〜1971年の建物

戦後の復興期に建てられた建物が多く、建材や施工技術もまだ未熟だった時代です。この時期の建物は構造がシンプルであり、耐震性も現在の基準に比べて低いことが一般的です。

こうした建物は老朽化が進んでいる場合が多く、改修や補強が必要になる可能性が高いです。

1971年〜1981年の建物

この時期には、第一次オイルショックを受けて、省エネルギーや耐震性に対する関心が高まりました。しかし建築基準法がまだ厳格ではなかったため、耐震性の低い建物も多く見られます。

また、高度経済成長期の建設ラッシュにより品質管理が十分でなかった場合もあります。リノベーションの際には、特に耐震補強が必要です。

1981年〜2000年の建物

1981年には新耐震基準が導入され、建物の耐震性が大きく向上しました。この時期の建物は比較的高い耐久性を持ち、耐震基準も現在に近いものとなっています。

しかし、バブル期の影響で一部の建物では急ピッチな施工が行われ、品質にばらつきが見られることもあります。リノベーションを行う際には、特に隠れた欠陥に注意が必要です。

2000年以降の建物

2000年以降の建物は現代の建築基準法に基づいて建設されており、耐震性、断熱性、そして省エネ性能が非常に高いのが特徴です。

この時期の建物は、長期間にわたって安全で快適な住環境を提供できる設計となっており、私がリノベーション物件としておすすめするのはこの時期の建物です。

ポイント

  • 1971年〜1981年の建物は、物件によって耐震工事にコストがかさむ場合があるので、事前の調査を念入りにしてからリノベするかどうかを決めるべき
  • 1981年~2000年頃の建物は、物件によってかなりばらつきがあり、欠陥住宅を引き当ててしまうリスクあり
  • 2000年以降の建物であれば、よほどの劣化がない限りはリノベーションで大幅に寿命を延ばす事が可能

古い建物でも使い続けるための工夫

古い建物には確かに問題点が存在します。例えばシロアリの被害や、柱や梁が真っすぐに立っていない、さらには施工不良が見られることも少なくありません。

私の家も1968年に建てられた建物で耐震構造には脆弱性があったのですが、解体するのではなく、耐震補強を行い住み続けています。

古い建物でも使い続けるためには、いくつかの工夫や対策が必要です。これらの対策を講じることで、古い建物でも安全で快適な住環境を維持し、建物の寿命を延ばすことが可能になります。以下に具体的な工夫をいくつか挙げます。

耐震補強

古い建物は、現在の耐震基準に満たないことが多く、地震に対して弱い場合があります。耐震補強工事を行うことで、建物の耐震性能を向上させ、地震時の安全性を確保することができます。具体的には、壁の補強や鉄筋コンクリートの設置、基礎の補強などが考えられます。

シロアリ対策

木造建築において特に重要なのがシロアリ対策です。シロアリの被害を防ぐために、薬剤の散布や定期的な点検を行うことが効果的です。また、シロアリが好む湿気を減らすために、通気性の良い床下の構造にすることも有効です。

断熱性能の向上

古い建物は断熱性能が低いことが多く、夏は暑く冬は寒いといった問題が生じます。断熱材の追加や窓の二重ガラス化、断熱性能の高い外壁材の使用などで断熱性能を向上させることで、快適な室内環境を保つことができます。これにより、エネルギー消費を削減し、光熱費の節約にもつながります。

防音対策

防音性能の向上も、古い建物の居住性を改善する重要な要素です。特に、都市部や騒音の多い場所に立地する場合、壁や床、窓に防音材を追加することで、外部の音の侵入を抑えることができます。また、内部の音の響きを軽減するために、吸音材を取り入れることも有効です。

設備の更新

古い建物には、古くなった配管や電気設備が使われていることが多く、故障や火災の原因になることもあります。定期的な点検と必要に応じた設備の更新を行うことで、安全性を高め、快適な生活を送ることができます。特に、電気系統や給排水の配管の更新は重要です。

定期的なメンテナンス

定期的なメンテナンスを行うことで、建物の劣化を防ぎ、寿命を延ばすことができます。外壁や屋根の塗装、雨どいの清掃、木部の補修など、細かな部分の手入れを怠らないことが大切です。問題が小さいうちに対処することで、大規模な修理が必要になるのを防ぎます。

最新設備の導入

古い建物でも、現代の快適な生活に対応するために、最新の設備を導入することが有効です。例えば、エコキュートや太陽光発電システム、最新のキッチンやバスルーム設備を取り入れることで、利便性と快適性を向上させることができます。

古い建物を使い続けるためには、適切な耐震補強、断熱性能の向上、防音対策、設備の更新、そして定期的なメンテナンスが欠かせません。これらの対策を講じることで、古い建物でも安全で快適な生活が実現でき、建物の寿命を大幅に延ばすことが可能になります。また、古い建物に対する愛着を持ち、歴史や文化を大切にする心も、建物を長く使い続けるためには重要な要素です。

年代別・リノベーション事例

当社が実際に手掛けたリノベーションの中から、元の住宅が建てられた年代別に事例をご紹介します。

1950年〜1971年の建物のリノベ事例

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1981年〜2000年までの建物のリノベ事例

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2000年以降の建物のリノベ事例

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未来の住まいのために

建物の寿命は、その建物がどのように建てられ、どれだけ大切にされるかによって大きく変わります。

しっかりとしたメンテナンスと愛情を注げば、築60年、70年、場合によってはそれ以上の長寿命を達成することができます。

新しく建て替えることが必ずしも最良の選択肢ではありません。人々が古い建物に新しい価値を見出し、愛着を持って手入れをすることで、その寿命を延ばしていくことができるのです。

建物の寿命を最大限に引き伸ばすためには、建物の状態をよく理解し、必要な補修やリノベーションを適切に行うことが重要です。

また、新しい建物の魅力も認識しつつ、古い建物に対する愛情や歴史を大切にし、現代の快適さを取り入れることが、より豊かな住まいの実現につながります。

「リノベーションをしようかな?」と思ったら、まずはSOWAKAにご相談ください。

この記事の監修者

sugiyama

杉山幸治(株式会社SOWAKA)

一級建築施工管理技士

1977年生まれの瀬戸市育ち。建築工学科を卒業後ゼネコンに入社し、ビルやマンション建築の現場監督からはじまり、気付けば業歴27年。
20代はコンクリートと鉄骨に情熱を注ぎながら資格試験の勉強に没頭し、30代はコンクリートの社寺建築と木造での増築という難易度の高い現場などを経験しているうちに、どんな構造でもディレクションができるようになりました。中古住宅のリノベーションを軸に理想の住まいづくりをする会社の責任者として活動しています。

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