木と木をどうつなぐ?プレカットで家の骨組みができるまで
こんにちは。SOWAKAの坂本です。
先日、お客さまと材木市場に行った際、工場のご厚意でプレカット工場まで見学させていただきました。
今回はその時の様子を、番外編としてお届けしたいと思います。
普段なかなか目にすることのない場所。その裏側には、たくさんの工夫と職人技、そして家づくりへの想いが詰まっていました。
家にとってとても大事な“骨組み”。その材料となる木材が、どのように加工され、どうやって現場へと届けられているのか—普段なかなか見ることのないその舞台裏を、じっくりと見させていただきました。

プレカット工場とは?
プレカットとは、建物の柱や梁などの構造材を、あらかじめ工場の機械で加工しておくこと。家づくりに欠かせない「構造材」が加工される現場になります。
木と木をしっかりつなぐために、そして、ピッタリとはまるように「差し込みの部分(ほぞ)」や「受け口(ほぞ穴)」をつくっておく過程のことなんです。

それを現場でパズルのピースのように組み合わせていくのが、上棟(建て方)と言われる過程です。
昔は大工さんが現場でノコギリやノミを使って行っていた作業ですが、今ではほとんどがこの「プレカット」によって行われています。
図面に基づいてミリ単位で加工される材木たち。すべてがオーダーメイドで、一棟一棟に合わせた「世界にひとつだけの部材」が、丁寧につくられていきます。プレカットが始まったばかりの頃は、今のように精度が高くなく加工ミスや現場での手直しが必要になることもあったそうです。
それでも、技術の進化とともに、今ではミリ単位の高精度な加工ができるようになり、ほとんど間違いが起きないほどになりました。
たくさんのデータと機械の力、そしてそれを扱う人たちの知識と経験が合わさって、安心して家づくりができる環境が整っているんですね。

昔は大工さんが手刻み加工をしていた
実は、私の父は大工さん。もう引退をしてしまいましたが、私が建築の道に進んだのは大工だった父の背中を見て育ったからだと思います。
実際に高校卒業後に「私も大工になりたい」と父に懇願したことがありました。当時は「そんなに簡単なもんじゃない」と反対され、私もあっさりと大工の道を諦めたんですけどね。笑
そんな父が建てた私の実家は木造2階建ての家。小学生の頃、柱や壁に落書きをしたら、父がめちゃくちゃ激怒したことがあります。当時はそんなに怒らなくてもいいじゃんって思ったのを覚えていますが、今、お家を建てる側に立ってみて、やっと父の気持ちが分かりました。
今では当たり前にプレカットされた木材が運ばれてきて、あっという間に建て方が完成しますが、当時は本当に大変だったんだろうなって思います。
まるで工場見学ツアーのような面白さ
工場の中は、ずらりと並ぶ木材と大型機械の迫力に圧倒されます。
一本一本の木材が機械の上を流れるように移動し、正確にカットされたり、複雑な継手の加工が施されたりと、その様子はまるで“木のパズル工場”。

人の手と、最新技術が融合している現場はとても精密で、でもどこか温かみがある。それはやっぱり「木」という自然素材を扱っているからこそかもしれません。ちなみにこの工場の中は、木の香りが広がっていて自然と幸せな気持ちになれます。
実際の家づくりにつながっていく
この工場で加工された部材は、やがて現場に運ばれ、大工さんたちの手によって家の“かたち”へと組み上げられていきます。
プレカット加工が精密であるほど、現場での組立てがスムーズになり、精度の高い住まいが実現できる。だからこそ、この加工の工程がとても重要なんです。私たちの現場でもプレカットの打合せは何度も何度も行っています。
「見えなくなる部分」だからこそ
完成すると壁や天井に隠れてしまう部分ですが、家の耐久性や安心感を支えているのは、まさにこの構造材。
「見えないところこそ、きちんとつくる」
そんな想いを大切にしながら、SOWAKAはこれからも家づくりを続けていきます。
この記事を書いた人

坂本真由
坂本真由(株式会社SOWAKA)
代表取締役
1984年、熊本県天草市生まれ。
田舎ならではの独特な世界観や価値観に刺激を受けながら育ち、「自分らしく生きる」という人生のテーマを教えてくれた、大好きな地元が私の原点です。
そんな地元を離れたのは、「建築とデザイン」を本格的に学びたかったから。新しい刺激を求めて飛び込んだ専門学校では、建築の基礎から空間づくり、そしてデザインの楽しさを2年間夢中になって学びました。
卒業後は名古屋のビルダーに就職し、現場での経験を重ねながら、より実践的な建築の世界を体感。地元で培った感性と、愛知での学びや経験が、今の私の仕事にしっかりと息づいています。