鉄骨造リノベーションに関する疑問・質問にお答えします

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

執筆監修:杉山幸治(株式会社SOWAKA・一級建築施工管理技士)

鉄骨造の戸建て住宅のフルリノベーションをご検討中の方に、知っておいて損はない「鉄骨造リノベーションのよくある質問」をまとめてご紹介します。

鉄骨造リノベーションの間取りや建物に関するQ&A

A:鉄骨造の住宅でも間取りを大幅に変える事は可能です

「リノベーションで、今ある部屋の壁をなくして大きなリビングダイニングにしたいのですが、鉄骨造なので間取りの大幅な変更は難しいですよね?」というご質問をいただく事が良くありますが、そんなことはありません!

鉄骨造の住宅でも間取りを大幅に変える事は可能です。また、実は鉄骨造は間取りの作り変えがしやすく、水廻りの位置を含めて全体の間取りを大幅に変える事ができるんです。

鉄骨造が間取りの作り変えをしやすい理由

鉄骨造の建物は構造が頑丈で耐久性があるため、柱や梁の数を調整しやすいという特徴があります。

間取り変更はもちろんのこと、窓を大きくしたり、階段の設置場所を変えたり、天井を吹き抜けにしたりと大規模な変更をすることができることから、鉄骨造住宅はフルリノベーションに向いている住宅であると言えます。

鉄骨造は間取り変更時の注意点

鉄骨造に限らず、既存の建物がベースとなるリノベーションでは構造上どうしても取り払うことのできない箇所があるので注意が必要です。

特に軽量鉄骨造の場合には重量鉄骨造よりも柱や梁の数が多くなるため、間取りに制約が出る事もあり得ます。

そういった制約をポジティブにとらえて、あえて柱やブレース(※) を見える状態にする事で現代的でおしゃれなデザインにするのが近年のリノベーションのトレンドになっています。

※ブレースとは、主に軽量鉄骨造で使われる補強材で、柱と梁の対角線上にクロスする形で設置されるものです。耐震効果や耐久性強化のために使われます。

合わせて読みたい!間取りを変更したフルリノベーション事例

株式会社SOWAKAが手掛けた重量鉄骨造戸建てリノベーション事例も是非参考にしてください!

A:できます!ただし、移動できる場所の制限などがあります

キッチン、浴室、洗面スペースといった水廻り位置を変更する際には、まず既存の配管設備がどのようになっているかを確認したあと、どこの場所であれば移設できるのかを決めて行くという流れになります。

一言で水廻りと言っても、目に見えている部分だけではなく、給水・排水設備や電気配線、排気ダクトなど複数の工事が必要となります。

中でも特に排水管の位置は重要。排水をスムーズにするために配管には勾配を付ける必要があるのですが、床下に十分なスペースがない場合や配管の距離が長すぎる場合、移動が難しくなってしまう場合もあります。

専門的な知識が必要となってきますし、特にキッチンは家事動線を考える中で重要な部分になってきます。

しっかり専門家と打合せしながら進めていく事が成功のポイントです。

A:できます。ただし、注意するべき点があります

増築部分が10㎡以内の場合は、基本的にリノベーションと一緒に増築することが可能です。

リノベーションを機に、様々な理由から増築を検討される方もいらっしゃると思います。

工事的な観点から言うと、スペースがあれば増築は可能です。ただし、建物の種類や増築する面積などによって建築確認申請手続きなどが必要になるなど注意すべき点があるので、以下に詳しくご紹介します。

床面積を増やしたり、増築したりする際に注意するべき事

  • 10㎡を超える場合、又は建物が「防火・準防火地域」である場合には、『建築確認申請』という手続きが必要になる
  • 建築確認申請には手数料や代行料がかかる
  • 増築の場合は専門家に代金を支払って耐震診断を依頼する必要が生じる場合もある
  • 増床部分に耐震補強をすると高額になることが多いので、大規模な増築を検討している方は予算面を含めてしっかりと考える必要がある

建築確認申請とは?

新築や大規模な増築をする際に、その建物が建築基準法や条例に違反していないかどうかを確認するためのものです。

通常設計事務所や施工会社等が代理で行いますが、申請を怠ると法律違反となりますのでしっかりと行いましょう。

その他、建築確認制度については【国土交通省 中部地方整備局 建政部 住宅整備課】が詳しい情報を公開していますので、参考にしてみて下さい。

A:窓を全て付け替えたり、新たに窓を設けたりすることは可能です

家を支える柱や梁に影響がない場所であれば、窓の位置や大きさを変えたり、窓の数を増やしたりすることができます

特に重量鉄骨の建物の場合は柱や梁が少ないので、壁一面に大きな窓を作る事も可能です。

また、窓自体は変えないけれどサッシやガラスだけ変更するという選択肢もあります

近年では、断熱リノベーションとしてサッシをアルミから樹脂製の物に変えたり、ガラスを二重ガラスに変更して、住まいの断熱性能を向上させる方も増えてきています。

窓を変えると、住まいの明るさや温かさなど、日々の暮らしの快適さが格段に向上する場合があります。

A:階段の位置を変えたり、角度を変えて段数を増減させたりすることが可能です

昔に建てられた住まいは、階段が急勾配だったり、生活動線に沿っていない位置に設置されている事が良くあります。

そんな階段を、住まう人や暮らしに合わせて造り変える事ができるのもリノベーションの良い所。

また、階段には単に上と下の階を繋ぐという役割だけでなく、光を家の中に取り入れるという効果もあります。

階段をリノベーションすることで、安全で便利な住まいになるだけではなく、日々の暮らしの質を向上させる事も可能になります。

近年よく目にするリビング階段も、スケルトン階段を採用したり、吹抜け空間に組み合わせたりとインテリアのひとつとして楽しめるという事で人気を集めています。

階段の位置や角度を変える際には、工事の中で1階の天井部分(=2階の床部分)の間口を切り抜く必要があります。その部分に大切な柱や梁がないかどうか、切り抜くことで構造上の耐久性は大丈夫かどうか、しっかりと専門家に計算してもらいながら進めていきましょう

A:建物によって異なります

住宅の築年数によってリノベーションができない場合があるのかどうかについてご質問をいただく事がありますが、その質問に対する回答としては、「建物を見てみないと分からない」というのが正直な回答です。

法律的には鉄骨造の建物は、使われている鉄骨の厚みによって19~34年の耐用年数が定められています。(下図参照)

一般的には、鉄骨造の建物は築50年前後ぐらいまではリノベーション可能と言われています。ただし、基礎部分が錆によって大きく劣化している場合などはリノベーションをお断りする場合もあります。

法定耐用年数について

法定耐用年数とは、税法上の不動産価値を決定するために国税庁が定めている数値です。

鉄骨造の法定耐用年数は、国税庁が『法定耐用年数表』として以下のように定めています。

構造法定耐用年数
鉄骨造(鉄骨の厚み3mm以下)19年
鉄骨造(鉄骨の厚み3mm以上4mm以下)27年
鉄骨造(鉄骨の厚み4mm以上)34年

ただしこの法定耐用年数の数値は、あくまで不動産の価値を決めるために設定されているもので、しっかりと定期的なメンテナンスを行っている鉄骨造の物件は、一般的には50年から60年程度は使用できると考えられています。

ただ、状態がどれだけ良くても、建物の構造そのものに欠陥がある場合もあるので注意が必要です。

建物を建てるための『建築基準法』というものがありますが、1981年6月で大きく耐震基準が変わっています

それまでは震度6強以上の規定が定められていなかったのですが、新たに規定が定められ、震度5以下の地震に対しても基準が厳しくされました。【新耐震基準】

これから物件探しをする方は、なるべく古くても1981年6月以降に建てられた新耐震基準をクリアしている物件を検討するのがおすすめです。

鉄骨造リノベーションの予算やお金に関するQ&A

A:中古の鉄骨造戸建てのフルリノベ費用の相場は1坪あたり30~65万円前後が目安

中古の鉄骨造一戸建て物件のフルリノベーションを行う場合、1坪あたり30~65万円前後が当社の相場となります。

この金額は2023年度に愛知県名古屋市周辺エリアでの当社の施工実績に基づいた金額となります。また物件の購入費用は含まず、純粋にリノベーションだけに掛かる費用となります。

1坪あたり30~65万円と聞くと、金額にかなりの開きがあるように感じられると思いますが、リノベーションの価格は以下のような要因によって大きく変動します。

金額が変動する要因

  • 物件の築年数や状態
  • 建物の面積
  • 階段の移設や窓の増設など、住宅設備の大幅な入れ替え
  • キッチンやトイレ、バスルーム、扉、床材など採用する設備・備品の価格
  • 断熱材の種類や範囲

「せっかくの機会だから」と、無計画に進めてしまうと想定していたよりも高額になってしまうという事も起こり得ます。

リノベーションを委託する業者に明確に予算を伝えたうえで、どのような暮らしがしたいのか、何年後に家族がどのような形になっているのかなどについてしっかりと想像しながら、コストを掛けるところと節約するところの優先順位を付けながら打ち合わせを進めていけると良いですね。

また、リノベーションには工事そのものだけでなく、それに付随した様々な費用も必要になってきます

中古住宅をイチから探す方は物件購入費も予算に組み込まなければなりません。

加えて住まいに合わせて新しい家具や家電・カーテンなどを揃えたり、工事期間中に仮住まいするための引っ越し費用や数ヶ月分の賃貸の家賃と敷金礼金も必要な部分。

工事費用だけに捉われず、全体を見ながら計画的に予算を組んでいくことが大切です。

鉄骨造リノベーションの工事や工期に関するQ&A

A:工事範囲によってはできる場合もあります

工事をしていない部屋に住んだままリノベーション工事ができるかどうかと言う質問に対する回答としては、「できなくはない」ということになりますが、工事期間中は非常に不便でストレスの多い生活を強いられるため、かなりの覚悟が必要です。

例えばキッチンの工事を行っている期間は料理ができないし、バスルーム、トイレなど水廻りの工事中はお風呂に入れなかったり、トイレが使えなかったりというような不自由が生じます。

ちなみに、フルリノベーションの場合は家全体の壁を全て取り払った状態にしてから工事を進めるため、工事期間中は仮住まいに転居される事を強くおすすめします。

転居できない場合

工事期間中、事情があって転居できない場合は以下のような点を念頭に置いておくと良いでしょう。

  • 工務店に1階と2階とで工事期間を分けたり、部屋を区切って工事を進めるなどの対応が可能かどうか確認する
  • 工事の効率が下がるなどの理由から工事期間が延びたり、割増料金を請求される場合がある

A:リノベーションのスケジュールは『入居希望日』からの逆算で決まります

リノベーションの一般的な工事期間は以下の通りです。

  • フルリノベーションの場合:一般的には約6か月、最短で4か月前後
  • 間取り変更を伴わない部分リノベーションの場合:一般的には約3か月、最短で2.5か月前後

上記の工事期間に加えて、工事が始まる前の打ち合わせや住まいのプランニング、図面作成期間、ローン審査など準備期間に約6か月から1年ぐらいは必要です。

さらに、物件選びからスタートする場合は、物件を見つけるまでの期間も見込んでおく必要があります。

リノベーション工事の期間が極端に短い場合、特急料金として割り増し請求となる場合がほとんどのため、無理のないスケジュールで進める事が、長期的な快適さにつながると考えて、余裕を持って進めていきましょう

鉄骨造リノベーションの断熱に関するQ&A

A:断熱リノベーションで暮らしの快適さは格段に向上します

鉄骨造の建物は、鉄の性質同様に外の気温の影響を受けやすいという特徴があります。

そのため、暑い季節には暖気をため込み、寒い季節には冷気をため込んでしまい、夏は暑く冬は寒いという暮らしにくい住宅環境に陥りがちです。

せっかく家全体の快適さを向上させるためのリノベーションを行うのであれば、そのタイミングでしっかりと断熱性能を高めることをおすすめします。

断熱リノベーションの具体的な方法とは?

  • 窓の断熱リノベ:窓ガラスやサッシを断熱性能が高い樹脂製の物に交換したり、二重窓を設置するなどの方法。窓は外気に最も接する部分のため、効果的に断熱性能を高めることができます。
  • 壁や床の断熱リノベ:壁や床の間に断熱材を詰め込み、空気の層を作って家を外気温から守る方法。断熱材には様々な種類や工事方法があるため、しっかりと知識のある専門家に相談するのがおすすめ!

鉄骨造のリノベーションで気を付ける事は何?

鉄骨造は錆に注意しよう

鉄骨は湿気や水分が弱点で、触れた部分を放置しておくとサビが発生してしまいます。

柱や梁といった重要な部位の鉄骨にサビが発生してしまうと、建物の強度が低下してしまい、安心安全な住まいではなくなってしまいます。

検討している物件がある場合は、購入する前に専門家にアドバイスをもらうことがおすすめです。

また、どうしても解体しなければ見えない部分もあります。解体後にそのような事態が発覚した際には錆びた部分の補修を行ったり、場合によっては鉄骨自体を交換したり、原因となっている雨漏れを直す工事も必要になってきます。

中古物件の状況によっては、予想外の費用がかかる可能性もあることを覚えておきましょう

リノベーション実績や経験のある会社をしっかりと選ぼう

ハウスメーカーが立てた軽量鉄骨造の場合、それぞれのメーカーごとで工法が異なっているため、独自の特徴があります。構造を大きく変えるフルリノベーションをする際には、各メーカーの工法や構造を熟知していなければなりません。

また重量鉄骨造の建物には、重量鉄骨独特の複雑な構造が存在します。

せっかくリノベーションをしたのに、家の強度が弱くなってしまった、イメージと違う住まいになってしまったということでは後悔が残ってしまいますね。

リノベーション会社を選ぶ際には、お住まいに合わせて軽量鉄骨造or重量鉄骨造の経験や実績がある会社かどうかを、ホームページ等で事前に調べてみるのが良いですね。

また、人生の中で大きな買い物となるため、スタッフが真摯に対応してくれているかどうか、親身に対応してくれているかどうかもしっかりと見極めることが、満足のいくリノベーションへの足掛かりになること間違いなしです。

鉄骨造をもっと調べてみたい方はこちらの本がおすすめ!

ぜんぶ絵でわかる3鉄骨造

この本では、意匠設計から構造設計、鉄骨加工、施工まで、鉄骨造の建物ができるまでの流れをたどりながら、各段階で検討・決定すべきこと、注意すべきこと、施工ポイントなどを「ぜんぶ絵で」解説していきます。愉快なキャラクターたちと一緒に、鉄骨造のいろはを楽しくやさしく学べます!

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鉄骨造の建物が完成するまでの流れをたどりながら、それぞれの段階で検討・決定するべきこと、注意するべきこと、ポイントなどを「ぜんぶ絵で」解説している本です。

どうしても専門的な部分が多い鉄骨造の建築。「分からない事が何か分からない!」というお声もよく聞きます。

ぜひ一度お手に取っていただき、リノベーションへの第一歩にしていただけると、これからの住まいづくりがより楽しく想いが詰まったものになるのではないでしょうか。

鉄骨造のリノベーションは株式会社SOWAKAへ

株式会社SOWAKAは、愛知県内で数多くのリノベーション案件を手掛けた経験と実績を持っています

「こんな家に住みたい」、「こんな暮らしがしたい」と言ったご要望に加えて、ご予算も含めたたくさんの思いをお伺いした上で、最適な家のプランをご提案させていただきます。

ビル、マンション、戸建て、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造、混構造など様々な用途や構造にも適切に対応ができるSOWAKAならでは提案力で、あなたの夢を叶えるお手伝いをいたします。

SOWAKAの強み ~得意としていること~

SOWAKAはマンションなどの鉄筋コンクリート造だけではなく、在来木造、重量鉄骨造、軽量鉄骨造もリノベーションすることができる強みがあります。

また、建物内部を全て取り払って新しい住まい方の提案や断熱性能を高めた省エネ改修が得意です。

建設分野では新築よりも改修の方が計画をすることや実際に工事を行うことが技術や知識、実績が必要でコストもかかると言われていますが、当社では、あえて難しいリノベーションをメイン事業として挑戦し続けています。

SOWAKAのリノベーションはこんなお客様に喜ばれています

  • 家族が増えたり、子どもが独立をして生活が変わった
  • 中古住宅を購入して新しい生活を始める
  • 実家を相続した
  • 実家に戻ることになったから二世帯住宅にしたい
  • 建て替えや新築も考えたけど資金が足りない
  • 家族や自分の今後に備えたい

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この記事の監修者

sugiyama

杉山幸治(株式会社SOWAKA)

一級建築施工管理技士

1977年生まれの瀬戸市育ち。建築工学科を卒業後ゼネコンに入社し、ビルやマンション建築の現場監督からはじまり、気付けば業歴27年。
20代はコンクリートと鉄骨に情熱を注ぎながら資格試験の勉強に没頭し、30代はコンクリートの社寺建築と木造での増築という難易度の高い現場などを経験しているうちに、どんな構造でもディレクションができるようになりました。中古住宅のリノベーションを軸に理想の住まいづくりをする会社の責任者として活動しています。

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