【丸の内】弁護士事務所様|プラン提案
今回の現場レポートでは、ヒアリングを通して見えてきた「安心感」と「整う動線」という設計の軸をご紹介します。
いよいよ、 図面に落とし込む“プランづくり” のお話。
「かっこよくしたい」「おしゃれにしたい」だけではなく、弁護士事務所という場所に必要なのは、信頼感と落ち着き。そのために、私たちはまず“空間の使い方を整える”ことから始めました。
まず考えたのは「お客様の心が落ち着く順番」
図面を描くうえで大切なのは、ただ部屋を並べることではなく人の動きと気持ちの流れを整えること。
弁護士事務所に来られる方は、多くの場合、緊張や不安を抱えています。
だからこそ、入口から相談までの流れは次のような“気持ちがほどける順番”を意識しました。
- 入室した瞬間に迷わない
- 受付が分かりやすい
- 待つ時間も落ち着ける
- 相談スペースへ自然に案内できる
- 相談内容が外に漏れない
この「当たり前」が揃うだけで、空間は驚くほど安心感を持ちます。

空間を区切るのではなく、“整える”ゾーニング
今回、プランで最初に整理したのがゾーニングです。
弁護士事務所では特に、「見せたい場所」と「見せたくない場所」がはっきりしています。
たとえば…
- お客様が安心して過ごせる待合
- きちんとした印象を与える受付
- プライバシーを守る相談スペース
- スタッフがスムーズに動けるバックヤード
それぞれの役割を分けながらも、閉じすぎて“入りづらさ”が出ないようにすることがポイントでした。
ただ仕切るのではなく、視線・距離・音のバランスで「境界線」をつくる。この考え方が、後に受賞作品の核にもつながっていきます。
“動線”が整うと、仕事の質も空気感も変わる
ヒアリングで特に多かったのが、動線のお悩みでした。受付対応、案内、書類の出し入れ、打ち合わせ準備…。日々の業務は、想像以上に「移動の連続」です。
そこでプランではスタッフの皆様が自然に動けるように、
- どこで立ち止まるか
- どこですれ違うか
- どのタイミングで見えないようにしたいか
こういった細かな“動き”を図面上でシミュレーションしながら調整しました。
空間はデザインだけでなく、使いやすさが整った瞬間に、空気まで整うと感じます。
図面で一番悩んだのは「相談スペースの安心感」
弁護士事務所で最も大切なのが、相談スペース。
お客様が安心して話せるためには“音”も“視線”も守られている必要があります。
ただ、完全に個室にしてしまうと逆に閉塞感が出てしまうこともあります。
「守られている」けど「息苦しくない」この絶妙なバランスを取るために、
- 視線の抜け
- 入口からの見え方
- 光の入り方
- 仕切り方の工夫
を、何案も描き比べながら検討しました。
ここで生まれた「Dialogue Wall」という発想
今回の空間づくりで特徴になったのが、“壁”のつくり方でした。
壁は、空間を区切るもの。でも私たちは、ただ遮るだけの壁ではなく
光と素材でやさしく境界線をつくる壁=「Dialogue Wall」という考え方でプランをまとめていきました。
木目の揺らぎが、空間をやわらげる。光が、圧迫感を消してくれる。お客様が緊張しすぎず、自然と呼吸ができるような、そんな距離感。
図面の中で少しずつ輪郭が見えてきた瞬間、「この方向性なら、安心して任せてもらえる空間になる」そう確信できました。


