SUGICOの松本です。
リノベーションには解体がつきものですが、解体の現場を見た事はあるでしょうか?
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取り壊し
古い建物の取り壊しをしている場面を想像するかもしれません。
ショベルカーなどの重機が、大きな音を立てて壁や屋根を上から破壊していく。
壊した残骸の上に重機が乗っかり、さらに残った部分を壊す。
その残骸の中には年月を経た、柱や壁、屋根など、色々な”家を構成していた素材”がごちゃまぜになっていて、
”そこにあった形が目の前で壊れていく”ことに、寂しいような切ないような気持ちになります。
『解体』も同じように、ある程度の大きな音は出るし、
壊す時に出る木やプラスターボードの細かいものが舞い、
日常生活とは異なる状態にはなりますが、
『取り壊し』と『解体』では意味が大きく異なります。
取り壊しは”そこあった物を無くしてしまう”ことが目的です。
『解体』はその物を”分解してばらばらにすること”です。
分解なので、全てがごちゃまぜになっている訳にはいかなく、
必要な部分と不要な部分の仕分け、解体で出る様々な素材の仕分けを行います。
↓こちらの記事は、構造別に詳しく解説しています。
(クリックで移動します)
解剖
解剖をやった事のある人はいるでしょうか?
学校でも解剖をやることはなくなっているので、写真や知識だけの人ばかりかもしれませんが、
解剖を行う場合、内蔵を傷つけないように皮だけを切り、慎重に部位をむき出しにしていきます。
魚をおろすことや手術も解剖と似ていると思います。
魚丸ごと1匹を捌ける人は、不要な内蔵を取り除き、必要(食べる)部分をキレイに残し手を加えるし、
手術の場合も慎重にメスを体に入れていくはずです。
どれも丁寧さや慎重さも必要で、やみくもに切ってはいけない作業です。
取り壊しと解体の違い
『壊す』というのは、ダメにする、機能を損なう、崩すというように、
元には戻らないニュアンスが強いです。
壊すことと解体の違いはどこにあるのか?
それは目的が”無くしてしまわない”ところです。
人や動物を解剖するのは”どんな構造になっているのかを知る”ために行うことなので、
ぐちゃぐちゃに崩してしまったら、『どんな構造』で、『どんな関係』で繋がっていて、『どんな色や形』をしているのか?
などが分からなくなってしまいます。
リノベーション時の解体作業は、壁紙という名前の皮膚を剥がし、骨を覆っている筋肉にあたる壁を取り除きます。
不要な部位(壁を作っている板など)は取ってしまい、柱という名の骨が見える状態にします。
部分的には、『壊してしまう=無くしてしまう』部分も存在しますが、
ほとんど全てを見える状態にする解剖
必要な部位はそのままに、不要な部分を取り除いたりなおしたりする手術
解剖と手術と同様の要素があり、ただ壊すだけではないのがリノベーションの解体です。
規模によって触る部分の多い少ないはありますが、
元の形に戻すというよりも、元よりもいい状態にする。
愛知県名古屋市、尾張旭市周辺でリノベーションを通して暮らしの提案をしているSUGICOでは、
フルスケルトンの状態にして改修を行うことも多いです。
木造の場合はこんな感じ。(画像をクリックすると、アフターを見ることができます)
家を解剖し、手術をする作業だと思うと『解体』のイメージが変わるかもしれません。