愛知県名古屋市、尾張旭市周辺で、リノベーションを通して暮らしの提案をしているSUGICOの松本です。
「何かを作りたい」と思った時、何から始めるでしょうか?
たとえば、料理。
作ったことがない物ならレシピを探す。
調べたレシピで足りない材料をスーパーに食材を買いに行き、
レシピを見ながら料理をする。
作ったことがあるものならレシピ分の手間が省かれるので、足りない材料があれば買い物にいく。
そして食べる。
では棚の場合はどうでしょうか。
どんな物を作るのかで、必要な材料は違います。
ここは料理と一緒。
料理のレシピほどではないですが、簡単な棚であればDIYの本やネットでも作り方が載っていて、
その多くは、イラストや写真の解説が工程順に書かれているものです。
設計図では分かり辛いから、やり方が分かるように、伝わるようにと工夫されています。
簡易的な物であれば強度などを、そこまで気にすることはないでしょうが、
一時的ではなくある程度は長く使う物となると、どんな物が置けるのか?どれくらい耐えれるのか?
そういったことが重要になってきます。
作り方
『レシピ=作り方』という点では、
設計図も、『作るのに必要な説明』というところは『作り方』と同じなので、
レシピに該当する部分かもしれません。
ですが、設計図というのは時系列に手順を解説しているのではなく、
「物」を作るための詳細な図での解説という感じでしょうか。
図で表現されていますが、記号に近い表現ではあると思います。
”作る技術”や”道具”があるのが前提ですが、それを見ればどんな物かが分かる上に、
それを見れば作ることが出来る凄い物です。
昭和61年の広辞苑第三版では、
”設計図=設計した構造・形状・寸法を一定の規約に従って書いた図面”
と書かれていました。
同じ「形」を作るにはどんな素材でどんな大きさで、どんなように作られているのかが解らないといけない。
それが伝わるように書かれているのが、設計図です。
レシピでも、
”1.5センチ角”、”みじん切り”、大さじ○杯、”少々”など、
大まかな形状や寸法(量)の指定はありますが、設計図ほど細かくはなく、
料理で、
H45㎜×W65㎜×D55㎜豆腐(直径100㎜ 、H150㎜の皿の中央合わせ)
上面に7mm幅の青ネギ(φ45)11個 中央30mm×30mmの枠内にランダムに配置
などとは書かれることはないと思います。
薄切りや盛りつけによっては、㎜単位で気にすることもあると思いますが、
一般的な料理の場合はそこまで細かくないため、設計図の必要はないのです。
作った料理は同じ形を維持し続ける必要はなく、
お味噌汁はわかめや麩や豆腐が浮かんでいるし、味噌も下の方に沈殿するので、
食す時に少し混ぜたりします。
汁物は流動的ですが、料理自体が完成後には変化していくもので、料理自体が流動的なものとも言えると思います。
食べ進めれば量は減っていくし、最後にはなくなってしまう。
完成した時から最後(食べ終わる)まで、同じ形を維持し続けるものではなく、
玉子チャーハンのお米と卵の距離は、食べているうちにくっついたり離れたりします。
例えどんなに設計したとしても、一瞬で変わってしまうのです。
図面
図面があるような物は、
長く同じ形を保ち続ける必要があり、それぞれのパーツや素材、部材がほぼ固定化されているものです。
動くにしても、互いに干渉しあい一定の状態を保つようになっているので、
全体を通して長く形を保ち続けれるように、設計図は存在しているのだと思います。
図面自体は紙に印刷されているものですが、そこに書かれている線一本に意味があります。
線を動かすことは簡単そうに思えますが、実際のその線は家を構成する大切な柱の線かもしれません。
その線を動かすことで、実際の作業が大きく変わることもあります。
設計図の向こう側には、様々な材料が技術、構造や形状、寸法が密接に絡み合っています。