「住むならマンションなどの集合住宅ではなく戸建てがいいと考えていた」という奥様。
限られた予算の中で、自分たちの理想の住まいを手にするために、
不動産屋さんに通ったり、インターネットで検索したり、たくさんの物件を見て探されたそうです。
そんな中インターネットでみつけられた、比較的交通の便の良い、田畑に囲まれた長閑な風情の中古戸建て物件。
写真を見るとボロボロ。初めて訪れた際には正直靴を履いていないと室内には入れないくらいの状態だったとの事。
しかし、「長閑な景色に包まれた理想の環境に暮らしたい」との想いから築40年の中古住宅を購入し、リファイニングするという選択をされました。
お施主様からの要望は色々ありましたが、大きくはこの3つ。
リビングは広く、人が集まる空間にしたい。
玄関は土間風にしたい。
カーテンが好きではないので、窓は小さくしたい。
「人が集まる空間に」とのリビングには4メートルの無垢のダイニングテーブルを設置。
その上の照明には、現場で確認しながら位置を決めコードを組んだオリジナルのペンダント照明。
背面にある個室や収納の建具は、天井まである8枚の黒い引き戸を造作し、
住まいの中心となり、キッチンとダイニングテーブルを囲む家族が集う空間が
スタイリッシュでオリジナリティあふれる空間になりました。
玄関土間とLDKの仕切りの引き戸には既存建物にある引き戸を使用したいとの要望があり、
経年変化でひどく歪みのある建具でしたが、調整を行い再利用。
新品にはない味わいのある引き戸になりました。
「窓を小さく」との要望に設置した上下横長の二つのサッシは
時間によって光が入る角度が変わり、漆喰塗りの白い壁に刻々と変化する光の帯を作り出します。
入居後数年が経ち、子どもたちの成長や住まい方の変化に伴い、リビングの増築と少し改修を行いました。
増築部分のリビングにはモルタル仕上げの床を採用し、どこか懐かしい雰囲気のあるダイニングと正反対のモダンなリビングが面白いオンリーワンな住まいが出来ました。