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空間を考える時に気をつけること。

2020.02.22 - BLOG

SUGICOの松本です。

 

皆さんは家の空間を考えるとき、どのように部屋の空間を考えるでしょうか?

 

どんな部屋がいいのか、考える時


 

スマホ1つで色々な画像を検索できて便利な今日このごろ。

言葉で説明するよりもイメージを伝えやすいので、ネット上で参考になる写真を探すことがあると思います。

 

写真は参考資料としてはとても重宝します。

ですが、もし『その写真と同じようにしたい』と思った時、写真に写っていない部分もあるわけです。

 

写真に写っていない部分はどうなっているのでしょうか?

 

パノラマ写真でない場合は、一つの方向から撮影したものになるので、

物と物が重なっていたり、柱の陰になっているような、隠れてしまう部分や見えない所がどうしても出てきます。

写真はどうしても写る大きさが決まっているのでどこかで空間は切らないといけないので、

上下左右は切り取られることになります。

 

では、写真に写っていない、撮影者の後ろはどうなっているのか?

左右が写っていない時、そこには何があるのか?

ありえないかもしれませんが、後ろには何もない可能性だって無いわけじゃない。

もしかしたら、舞台のように後ろは客席で沢山の人がいて、写されている空間の後ろは舞台装置のように板だけかもしれません

 

 

 

こちらの写真からどんな部屋を想像するでしょうか?

 

 

ホワイトキューブに近い、何もないような空間に思えます。

 

 

 

 

実際は

 

 

手前に机があり、植物があり、右側に小上がり、天井の形状も右側はテイストが違っています。

切り取り方を変えたことで、空間の印象は変わります。

写真に入れる情報を絞って写すことが可能なので、排除したい情報は入れないように出来てしまいます。

 

 

平面は嘘をつく


 

家の空間というのはドラマやテレビ番組のセットのように、1つの画角だけ収まっていればいい、という物ではありません。

以前ブログ内で写真の活用について書いたことがありましたが、( 家の記録と記憶 )

あくまで写真の活用は記録や記憶、もしくは「作品」として独立したもので、

「空間そのものではない」ということを頭に入れておく必要があるのかなと思います。

 

写真という2次元のものに、現実の3次元の空間を落とし込んだ時、見えない部分も出てきます。

 

大学時代に、”平面の絵に描かれているものを立体にする”ということをやったことがあります。

平面のなかで、浮いたりしている物を実際の空間で作るとどうしても矛盾が生じる点もありました。

 

”平面は嘘をつく”

 

かなり強い言い方だと思いますが、”嘘をつけてしまう”と言ってもいいと思います。

実際に私の経験として、デッサンで紙の上に“そこにあるように描く”ということは3次元を2次元に変えることなので、

「あるかのように見えるように描く」、そこに”虚構を作り上げる”ことでした。

(中にはその矛盾に立ち向かって、「見えるものを見えるとおりに」つくることに生涯挑み続けたジャコメッティや、2次元の絵のなかに立体のような多方面からの像を一枚に落とし込んだ、ブラックやピカソなどの名だたる巨匠がいます。)

平面でリアルにみせる作品は、そこに3次元の空間があたかも広がっているかのように錯覚させるように技術を駆使して描かれています。

 

平面では隠すこともできてしまうし嘘もつけてしまう。

写真の加工も今では当たり前になっています。

写真上でオシャレだったりキレイだったり、カッコいい写真にするために、物も人も加工してキレイに見せることも可能です。

しかし、「家」は見世物ではありません。

あくまで自分たちが住まう空間です。

 

ただ座って眺めるだけの空間なら、視覚だけのために作られてもいいと思うし、そのためだけの”作品としての空間”があるのは贅沢で羨ましいです。

 

家の中での私たちは立ったり座ったり、動いたりして生活しています。

立って目の前がすぐに壁だったら立ち上がって移動することもやり辛いはず。

勿論オシャレでカッコいい空間に私も住みたいですが、あくまで普通に動ける空間が前提での話です。

更に言うとくつろいだり料理をしたりと、その場所毎に求める空間の機能も違います。

 

 

その部屋をどのように使うのか?


 

基本的に、キッチンにはくつろぐ要素よりは機能的に効率よく使えることを求めます。

(料理をあまりしないのであれば飾りのような空間でも問題はないと思います。)

でも、毎日ご飯を作り、家族も多いような人には効率よく料理を作れる空間が合っていると思います。

 

人によって空間に求める要素は変わってはくるので、みんなが同じ機能の空間を求めているわけではないですが、

見た目だけで作ってもいい箇所とそうでない所は存在します。

見た目と使い心地、場合によってはどちらかしか取れない所も出てくるかもしれません

でもそうなった場合はやはり納得して選択できるといいなと思います。

納得していれば多少の不便も愛着をもって大切にできると思います。

 

写真を利用する場合、参考にするにはとても便利で、人と風景や情報を共有するのには、百聞は一見にしかず、という言葉があるように言葉での説明よりも簡潔に人へ情報を伝え共有することが可能です。

あくまで情報でありそれが写真である以上は本当の空間ではなく、切り取られた物であることを忘れてはいけないなと思います。

ですが豊かな暮らしというのは、これまた便利なだけでも機能が充実してればいいというわけでもない所もあります。

 

何に?

どこに?

 

大切にするポイントは人それぞれですが、一面からの見た目ではなく、

色々な角度から見える空間を意識して考えられるといいよりいいなと感じました

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