こんにちは。
名古屋市近郊で、リフォーム、リノベーションを提案している杉工建設の寺島です。
昨年、建築士の試験を受けた時に驚いたことがあります。
それは、製図試験の図面が手書きなのです。
CAD図面が当たり前の今、「なんで今さら手書き?」と正直戸惑いました。
手書き図面は、20代の頃勤めていた設計事務所以来です。
棚の奥にしまってあった製図道具を久しぶり手に取ってみました。
平行定規、字消し板、製図用はけ、テンプレート、ドラフティングテープ、勾配定規…
何回も修正してボロボロになってしまった図面に向かうあの頃の自分の姿が、昨日のことのようによみがえってきました。CADでは瞬時に出来ることが、手書きでは鉛筆一本で行っていたのですから、よくやっていたなと思います。
情報処理能力においてはCADの圧勝ですが、最終的に人の脳に残るデータの量は、CADも手書きもさほど変わらないように思います。また、手書きによって得たデータの方が忘れにくいように感じます。
鉛筆がマウスに変わったと考えれば、CADも手書きではありますが、前者と後者では書く線の数が圧倒的に違います。今話題のコピペではなく、一本一本線を書くことでデータが手から脳に伝達され、その量を増やすことで脳に定着するのです。人の記憶するシステムは、手を使う行為が加わることでより確実になるのかもしれません。
近い将来、空間や音声ガイドだけで作図できるような時代がきたとしたら、「昔はマウスを使ってよくやっていたなぁ」と思うかもしれません。
情報処理の加速化は、私たちの生活に便利さをもたらし、それが当たり前となりつつあります。
しかし、スピード優先の時代だからこそ、たまにはうさぎさんからかめさんになってみると、いろいろな気付きがあるように思います。