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2020.02.07 - BLOG

この字を見て何を思い浮かべるでしょうか。

 

建設や建築関係での「壁」は確実に現実の壁、家を構成する1つで、調べると〔建物の仕切りとなる平板状の部分〕と出てきます。

そういえば壁というタイトルの小説があったなと久し振りに本棚にあった「壁」を手に取りました。

壁というシンプルなタイトル。

高校生の自分には、この「壁」という言葉に物質の重さを感じ、それに加えて作者のコウボウという名前の響きから、字は違いますが物作りをしそうな感じに惹かれて購入した本でした。

最後に読んだのはいつだったか、読んだときのことを思い出せないくら前なのに、本の整理のたびに手放す気にはならなくて棚に置き続けていた本です。

”概念的な言葉を使って書いてある論文じゃない文章”、というイメージだけは頭に残っていましたが、内容は詳しくおぼえていなかったので久しぶりに読んでみました。

 

 


 

『壁というものがある。』

序の書き出しは、「壁」から始まっています。

小説は出だしの一行で読むか判断すると言われていますが、まさに頭から壁が出現してきます。

文章でも何でも、導入部という物はその先に進むのかどうか判断する箇所になっています。

 

 

内容はどんなだったかなと想像し読み始めたところ、

”壁に思想はない”、”空間を仕切るためのものであるわけがない”、”こまかく仕切って………”、”光の通路をふさぐ”、”不便”、”不届”、”位置の固定”など、

なかなかに強い言葉が羅列されていて、現実の壁?壁?かべ?と、一瞬で迷子になりました。

”壁に頭を打ちたがる”、など試練的な壁のニュアンスで書かれていたのに。

今私がいるのは建築の業界だからなのか、概念的な「壁」のイメージが頭からすっかり抜けていた自分に気づきました。

 

ただ、公共の場というかお店などでは個人のプライバシーのために仕切りが作られるように、周りと混じらないように、干渉し合わないようにという風潮があります。

個人ために空間を仕切ってはいますが、そこでの気持ちや感覚も「周りを遮断する」、「切り離す」ようにで区切られ、仕切られているように感じます。

不特定多数が来るような場では個が交わらないようになっている一方で、新築やリノベーションでは壁を減らし、広い空間や共有する空間を持つ家が多く見受けられます。

区切って狭くなるよりも空間を広くとって流動的に使う。

家の中では空間を共有するのが今の形なのかなと思いました。

 

 

変化する壁


 

壁はリノベーションの際に大きく変化する箇所でもあります。

壁が無くなることで単純に空間が広くなりますが、それ以上に部屋の使い方や在り方が大きく変わります。

空間が繋がることで明確な仕切りがないことで、使い方もより連続して繋がった行動のなかで使うことになります。

「使う」という行動が伴うものも、空間の認識に変化があれば変化します。

 

LDKという、リビング、ダイニング、キッチンという区別も、そういうものだからと分けて考えてしまっているかもしれません。

意識的にそうではない使い方をしている人もいるかもしれませんが、空間に合わせた使い方をしているのではないかなと思います。

みんながみんな同じように、LDKを分けて考える必要はないのかなと思います。

 

 

壁によって変化するもの


 

今は「居間」は「リビング」という言い方が定番になっています。

字のごとく居る間。

リビングは生活や暮らしという意味。リビングルームは生活の部屋、暮らしの部屋というかんじでしょうか。

どちらも字面はすごく広い意味で、ほとんど家そのものの機能といってもおかしくないくらいの意味合いに思えます。

建築や部屋の意味で使う場合は用途をくつろぐ場所、家族団欒の場所などと具体的に設定してありますが、どこでだって寛ごうと思えば寛げるし、どこでだって生活をしていることには変わりありません。

手元にあった広辞苑の第3版では居間を引くと〔(家族が)ふだん居るへや。居室。〕と書いてありました。

リビングルームは洋風の居間と書いてありました。

個人的に居る部屋という字面が、ただそこに居るだけでその部屋が成り立っているようで、ただ座っている人の絵が思い浮かんだので、その部屋でやる事を強制されていない感じが汎用性がありいいなと感じました。

ふだん居る部屋が居間ならどこでも居間になるのではと思いました

大規模なリノベーションの際には壁を取っ払い、部屋の区別の概念が一旦ゼロになります。

いわゆるスケルトンの状態になります。

柱や梁などで動かせない、外せない物があるという制約があるので何でも可能な訳ではないですが、部屋の仕切りがほぼゼロになった空間はまだ何の生活空間にもなっていないのです。

空間が仕切られて、使い方が決まってくると部屋に名前が付いてきます。

一度名前がなくなったその空間は、さてこれからどんな空間になってくのだろうかと、ワクワクします。

 

 

まっさらから何をやってもいいという「自由」というのは、全てを考えないといけないため難しいことですが、

もしフルスケルトンにしてリノベーションをする際は、何にもなっていない空間を実際に目にして、部屋の概念をスケルトン化された空間と一緒に壊してみてもいいと思います。

愛知県名古屋市、尾張旭市近郊で、リノベーションを通して暮らしの提案をしているSUGICO。

自由という言葉は魅力的で、何でもできると思いがちですが、何もないところから全てを自分で考え、決めて、実行に移し、続けていくことは容易ではありません。

リノベーションはどうしても制約がある中で行いますが、不自由な点があるからこそ自由にできる部分との違いを楽しめるのかなと思います。

一人では判断しきれないことや一人では進められないことを、お客様と一緒にやっていけたらと考えています。

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