SOKAWA design and craft company

0561-76-5428

9:00〜18:00(水曜・日曜日定休)

Webからのお問い合わせはこちら

ニュース/ブログ ニュース/ブログ

  • TOP

入口から感じること

2020.01.24 - BLOG

入口から感じること

尾張旭市、名古屋市近郊でのリノベーションなどを通して、暮らしの提案をしている杉工建設の松本です。

 

2020

2つの数字のみで構成されているので、デジタルっぽくてとても未来を感じる字面だなと思います。

そんな未来を感じる2020年。

1月も半ばですが、お正月に初詣は行かれたでしょうか?

 

私は地元にある寺院群と神社を数か所回りました。

 

 

空間の境界    


 

神社は、鳥居や参道、水場や門や柵などで構成されて、本殿までの道のりが続いていきます。

 

私の地元は山に囲まれているため、山に寺社仏閣が集められたエリアがあり、

参道が坂道の神社も多いです。

 

 

 

 

鳥居をくぐり石畳の坂道を上がっていきます。

伸びた木々に囲まれた薄暗さを感じる山の中、

道の横にはお祭りの時に立てられる提灯がみえます。

今年は雪もないため殺風景にも思えましたが、気温は寒く、吐く息は白い。

 

白い空気を吐き出しながら、息も上がり始めたところで、

左右にワニのような狛犬がいて、左手に手水舎のある所にたどり着き、一息つく。

 

上がった息に自分の体力のなさを感じ、少し恥ずかしく思い息を抑えながら最後の階段を上がる。

最後の一段を登った先には、木は生い茂っていながらも開けた空間があり、本殿が見えました。

坂を上った時間はそれほど長くはないですが、

とても晴れ晴れとした気持ちを味わうことが出来ました。

 

鳥居をくぐると神社に入ったなと感じます。

鳥居は日常の空間と非日常の空間の境界です。

その境界を超えた先は、私たちが普段生活しているこちら側とは違う空間になっています。

 

 

区切られた空間


 

元々が山の中であったり特別な場所に建っているものもありますが

住宅地が近い所は柵で囲っていたり木に囲まれていて、

周りの空間と仕切り、区別されています。

 

家も土地を区切られて建っています。

自分の家の敷地がわかるように、隣の家とは違う空間として。

 

門がなく芝生が生えていたり、コンクリートだったり、柵があったり、壁が建っていたり、

目に見える仕切りがない場合もありますが、

区切ったとこから内側が、手を入れることが可能な自分の家の空間になってきます。

 

空間の広さでも変わってきますが、

神社ではすぐに本殿があるわけではなく、たどり着くまでに鳥居があり、階段があり、

石畳が続き、手水舎があるという様式があって、生活する空間とは違う空間になっていきます。

もちろん敷地の小さい所でも鳥居があり、石畳が敷かれていたりと、

やはり別の空間だとわかるようになっています。

 

 

神社では有名無名関係なく、本殿へ続くアプローチの中、

特別な場所であるという気分になるように、

1つの演出としても考えられているんだなと私は感じました。

 

 

入口へのアプローチ


 

神社は特別な場所ですが、

”特別に感じられるよう”に、意図的に作られていました。

 

同じように、家の入口になる玄関でも雰囲気によって、家の印象や自分の気持ちを変えることができます。

玄関までのスペースがある場合は、どのように家の玄関にたどり着くのか、

すぐに玄関がある家の場合は、玄関を入ってどう部屋にたどり着くのか。

 

家は生活する上で1番その人の日常である空間ですが、

そこに住む人にとっては1番大切な空間でもあります。

その点では特別な空間だと言ってもいいと思います。

 

家に帰ってきた時、

どんな入り口だといいのだろうか?

 

なにもかもを自由に変えることが出来るわけではないので、長いアプローチが良くてもそれが出来ない立地もありますが

考え方や工夫次第で、狭い空間でもその大きさで「最大限広く感じるように」、

「奥が続いている印象を受けるように」は出来ます。

 

 

空間の演出


 

社が高く狭い所にある神社は、作るスペースが狭く上に材料を持っていくにも制約もあるために、

小さい物も多いのだろうと思うのです。

 

下から見上げた時に見えている大きさが小さく、階段も細く長くて見え、

結構高い所にあるんだなと感じたものが、

実際にも小さく、階段は細く細かく作ってあるのを近くで見て、

高く遠いとこにあるように錯覚を利用して作られていたんだと感じた社がありました。

 

SUGICOの本社も広く感じるための空間作りをされています。

建物は四角いのですが、2階に上がり扉を入ると大きな窓から外が見え、

広く感じる空間が広がっています。

 

通常遠くの物は小さく見えるので、壁同士が直角に接している壁は、目線の先へ行くほど狭く見えます。

そこで狭く見えてしまう壁を90度よりも外側にふることで、

目線の先の窓の見える量が増え、目線が窓を通して外に抜けていく空間になり、

広く感じるように設計されています。

 

空間やその場所の印象を変えようと演出しようと思った時、花を飾ったり何かを置いたり、ライトアップしてみたりと、

その空間に物を足すというイメージを持ってしまいますが、

空間の形や素材、光の入り方によって印象は変わるため、空間の形、形状が重要になります。

 

天井が高いとどう感じるでしょうか。
 
縦に長いものは上昇するイメージや高さなどを想起します。
そのため縦に長い空間は上に抜けていく印象が強くなり、
勢いがあり気持ちのいい空間になります。
 
横に広がった空間は、落ち着いたゆったりした印象になります。
 
間取りに制約がなければ、どれだけでも天井を高く、部屋を広くし放題ですが、
現実はなかなかそうはいきません。
 
既存の家を利用するリノベーションでは、部屋の間取りを変えたりしますが、
建物の構造的に外すことのできない柱や壁が存在します。
どんなに変えたくても、変えることが出来ない部分もありますが、
制約がある中で、同じ広さでも広く感じるような空間作りは可能で、

壁の向きや位置を変えることで印象を変化させることができます。

家具の向きを変えるように簡単にできることではないので、

知識と技術が必要になってきます。

 

リノベーションでは新築の家を建てるよりも、どうしても制約は出てきますが、

そこでどう工夫するのか、どう考えるのかがリノベーションでは重要です。

 

recent entries

category

archive